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頭の宜しくないJCは最高らしい

480残念★:2012/03/08(木) 03:46:38 ID:???0
春も近づいた昼下がりである。
プロダクションの事務所で事務処理に勤しんでいると、目の前が暗転した。
直前に軽い足音が近づいてくるのを捉えていたし、顔を覆うものが何かの布、
おそらくスウェット生地であろうことも察しがつく。所謂、目隠しというやつだ。
「だーれだ!」とどこか抜けたような声が響く。それだけでイタズラっぽいあの表情が目に浮かんだ。
「どうした、柚。今日はオフだろ」
振り返ろうとするも、なかなか上手く固められているようで、どうも振り向けない。
ひゃうっだの、ひんっだの、柚の鼻にかかるような声が響いたあと、いきなり視界が開けた。
後頭部に生暖かい感触を残したまま振り返ると、フードで顔を隠した柚が座り込んでいた。
「なにやってんだよ」手を差し出すと、そろそろと握り返してくる。フードから覗いた顔が少しだけ赤い。
「プロデューサーを驚かせようと思ったんだよね、面白いと思って……」
語尾がゴニョゴニョと小さくなっていく柚を眺めると、パーカーの裾が捲れていることに気づいた。
ああ、なるほどと思うのと同時に、こちらまで赤面してくる。
「柚、お前も女の子なんだからさ、ちょっとはその、気を使え。な?」
「こ、こんなことするの、プロデューサーにだけだもんっ」
慌ててまくし立てる柚に、なんだか気恥ずかしいような、嬉しいような、どうもむず痒くなる。
「プロデューサーに、だけ、なんだから……」
少しだけ扇情的な視線は、柚の歳を忘れさせられそうになる。
かちゃりとドアノブの無機質な音と共に「あら、プロデューサーさんと、喜多見さん?」と、アシスタントの千川さんが現れた。
「どうしたの? 今日はオフよね。何か忘れ物?」という質問にたじろぐ柚に、
「俺が誘ったんですよ、ほら、この前Cランクに上がりましたからね。お祝いになにか食べに行こうかと」と、助け舟を出してやった。
柚のことだ、どうせ面白そうだからという理由で、俺をからかいにきたのだろう。
俺に会いたくてきてくれたのであれば、それはそれで嬉しいが……、まあそれはないか。
「ほら、柚。何か甘いものでも食べに行こうぜ」と声をかけると、「やったー!」と両手を挙げて喜ぶ。
さっきは扇情的な視線や、大人じみた態度にどきりとさせられたが、俺はこういう子どもくさい柚がとても自然体に見えて、一番好きだ。
揃って事務所を出ようとしたら「ありがとね、プロデューサー」なんて言うもんだから、
「食いしん坊だな、柚は。でも、あんまり誤解されるようなことするなよ」と言い返してみた。
返事は「うん、それもそうだけど、でもいつもありがとう」だってさ。
「あと、別に誤解されても良かったんだけどな……。誤解じゃなくて本当だともっと良かったかも?」
珍しく殊勝だと思えば、もうこの態度だ。まあでも、そうだな。
俺も柚といると居心地がいいし、その態度も背伸びから自然になるよう、早く大人になってくれ。
その頃には本当に誤解じゃなくなってるかもしれないしな。


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