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うる22
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○カナテコ
春の陽気に誘われ散歩をしていると、工事をやっている現場に出くわした。
ブルーシートの上に様々な工具が置いてあり、その中にアレがあった。
カナテコ、またの名をバール(のようなもの)。
それもかなり大きいプロ仕様。
一般家庭にあるような、釘抜きと呼ばれたりするような
ちゃちな物とは一線を画すその大きさ、重量感。
俺はそれを手に取ってみたくてたまらない衝動に駆られた。
工事のおっさんは作業に熱中してるみたいだし、少しぐらいならと、そっと手にとってみた。
驚愕した。
カナテコは見た目以上に重く冷たく、俺はこの錆びた鉄のモンスターに思わず身震いした。
こんなもので科学者を殴ればそりゃ死ぬな、と一人でニヤニヤ考えていると、
工事のおっさんと目が合った。
バールを手にニヤニヤしながら立ち尽くす男が、これから一体何をしでかすのか、
彼は固唾を呑んで見守っているようだった。
二人の間に緊張した空気が張り詰める。
俺はしばらく(実際は一瞬だったかもしれない)これからどうすべきか考えた後、
そっとカナテコをブルーシートの上に置いた。
工事のおっさんの安堵の表情が爽やかな風を誘う、春の午後でした。
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