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別れる者と異世界の小さな旅

10レオン:2006/09/21(木) 16:55:06 ID:X3oxlF8g
その頃。
彼ら―レオン達―の知らないところでは、彼らに深い関わりのある人物が居た。
先ほど、彼らのうち一人が呟いていた言葉。

『・・・だったらフレイムとリオンはどうなるんだろう。』

その言葉は、実に重要な台詞だった。
彼らの言う、「フレイム」なる人物は、彼らと全く同じ時、同じ世界に存在していたのだ。
最も、彼らは知らなかったようだが。
時は、僅か一日前に遡る。




「ここ・・・何??」

少女――フレイムが倒れていたのは、深い深い森の奥。
深緑の木が生い茂り、地面の至る所に木の根が張り巡らされている。
――まず、落ち着け、私。
彼女は、自分自身にそう言い聞かせて辺りを観察する。
どこからどう見ても、森の中。
しかも、木には蔦が張っており、その様は熱帯雨林を想像させる。
――近くにこんな森、無かった・・・よね?
観察すればするほど、訳が分からなくなる。
フレイムは、とりあえず今までを思い出してみた。

――昨日の夜、私は普通にパソコンをしていた。
強いて言うなら、父さんと母さんは飲み会、姉さん達は買い物に行ってて、家には私しか居なかった。
・・・そうだ。
私は、あまりにも暇だから育成ゲームをしようとした。
そしたら、パソコンが光って――。
気付いたら、ここで寝てたんだ。

「・・・ますます訳分かんねー」

彼女はぼそりと呟き、頭を掻き毟る。
それは、彼女が混乱したり、悩んだ時のくせのようなものだった。
その時、フレイムの手が何かに触れた。
ひんやりとした、金属のような感触。

彼女の身の丈ほどもある、大きな鎌だった。

「・・・・・・はぁ・・・?」

彼女は思わず間抜けな声を出す。
混乱状態で、さらに大鎌なんて見せられたら誰だってそうなるだろう。
とりあえずそれを手に取り、振り回してみる。
重さは見た目よりも少し軽い。
柄が軽く、刃が重いので遠心力を付けやすい。
黒の刃と、青紫の飾り布が舞って、どこか神々しく見えた。
――なかなかいいじゃん。
フレイムがそう思った瞬間、彼女の後ろの草むらから音がした。

「誰!?」

彼女は慌てて叫ぶ。
草むらから出てきたのは、2mほどの巨大なオークだった。

「・・・・・・は?」

――イヤイヤイヤ、おかしいだろオイ。
――えーと、どこのファンタジーアトラクション!?
――つか本物!? ウソ、違うよね!??
等と色々な事を考えていると、不意にオークが喋りだした。

「元の世界に帰りたければ、俺に付いて来い」

低い、聞いていて心地の悪い声。
その言葉は、だたでさえ混乱している彼女に、止めを刺した。
――・・・元の世界!?
――ここは別世界だっていうのかよ!? 在りえねー!!
――イヤ、でも実際パソが光ったのは非現実だよな??
――ってかあいつ喋れんの!?

「・・・はあぁぁっ!!?」

森に、フレイムの声が響き渡った。


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