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管理人は映画キチガイ

1武來庵:2011/03/05(土) 18:43:43
今週の月曜日に、用事で久しぶりに家を出た。メルローズ通りにゆくために、ハイランド通りを車で南に走らせた。いつもより3車両の道路は渋滞。なにも考えずに、ただ車の流れに添ってゆく。やっとのことでハリウッド大通りとの交差点に差し掛かる。何故か右折ができないように通行止めになっていた。何でやろ。ゆっくり直進しながら、コダック劇場がすぐ見える右側を車の窓越しに眺めると、その前の道路の真中に仮設として透明プラスチック張りのアーケードのようなものが立ち上がっていた。数秒でのことだから、しっかり見たわけじゃない。あっそうか今年もオスカー授賞式の季節なんだねと気づく。ああ、また一年があっという間に去ったのかとため息が出た。

16武來庵:2011/06/30(木) 17:40:47
>>12
説明:もう少し日本語の言い回しに気をつけて、また文の意味もより明確にして書き直してみた。

ボイト(父親):恋人選びのことについて、彼女(自身)の口で言わせると、例の、まるでスーパーマーケットなんかで、オレンジを(手軽に)選ぶ(拾ってくる)感じだよね。それってちょっと考えものだよ。

ザーン(CNNニュースのアンカー、ここではトークショー司会者): ジョリーのやることって、いつも芸能雑誌のうわさのネタにされてるね。彼女のことって、とても興味深いんだけど、それと同時にドキッとさせられる。(例えば)彼女は12箇(も)刺青をしてたり、SMセックスに強く興味もってたりね。(過去には)人間の(本物の)血液を入れたペンダントのネックレスをして、それを(まわりに)自慢してた(時期があった)。

ザーン: (その当時)アンジェリーナはプロのモデル(さん)をしていた。そのかたわらビバリーヒルズ高校にも(生徒として)通っていたんだけど。他の生徒とは(様子がかなり)違っていた。

ニーリー・マルゴ、ジョリーの舞台指導アシスタント: 彼女はとても暗い(感じ)で、ゴス一色(ってな具合)。いつも思い出すんだけど、黒色の口紅をつけて、髪の毛を長く伸ばしてた。それに、とても無口。彼女は誰とも口を利かなかった、ほんとに。

ザーン: アンジェリーナはかつて、葬儀者(棺おけに入れて公けに見せるために、死人の顔や髪型に美容を施し、着付けをする者)になりたいって、強く(夢にまで)思っていた(時期があり)、また自傷行為に(も)嵌っていた(時期があった)。

ジョリー(自身): ナイフを集めていて、いつも(なにか)そんな物を身近に持って(いないと気がすまなかっ)た。はっきりとした理由がないんだけど、自分を(刃物で)切って、その痛みを通して、たとえば生きている実感や、何かしらの開放感みたいなものを身体で感じようと、それを儀式のように繰り返してた。それが不思議にも心の癒しになっていた。

ザーン: またジョリーが言うのには、高校時代にはドラッグ(なんか)も試していた(とのこと)。

17武來庵:2011/07/01(金) 20:10:30
数日前、「リトルプリンセス」A Little Princess(1995)と「シークレットガーデン」Secrete Garden(1993)をDVDで観た。読んでいないが両方とも同じ著者による小説を映画化したもの。(原作に近いと言うことを知って、シャーリーテンプル主演の古いA Little Princess(1939)もその後すぐに観てみた。)どれも少女が主人公なのだが共に運命のいたずらで、裕福な家庭から一挙に転落し貧しくなる物語。今まで経験したことがないから、貧しさや孤独が余計に身に沁みる。困っている同じ年頃の子をみると、つい助けてあげたい気の優しい性格から、それがもとでより一層つらい目に会っちゃう。望みを捨てないで、運命に身をまかせて懸命に生きようとする。幾多の試練を乗り越えて、映画の終わり頃には、今までのやったことが無駄なく報われて、ハッピーエンドで終わる。なんとも心温まるクラシックです。

特に主人公が少女で、心根がやさしい場合ね、いつもシンデレラのように、ハッピーエンドで映画が終わりますようにって祈りながら観ている。そうでなかったら心が滅茶苦茶に張り裂けて苦しい思いをしてしまう。たとえばね、フランス映画の「禁じられた遊び」英Forbidden Games/仏Jeux interdits(1952)なんかは、心の準備が必要なほど勇気がないと見ることができない。それほど悲しい白黒映画。実話ではないんだけど、こんなストーリーがどこかで実際あってもおかしくないんだよね。この映画の舞台は第二次大戦下のフランス。現実に当時たくさんの戦争孤児たちがいたからね。日本にいたとき、だいぶ昔だけど、その映画を初めて鑑賞した。観終わっても目が腫れて、なかなか身動きできない。でもそれが収まると、今度は一人で居るのが苦痛になる。だから外出して、ショッピングしたり、レストランに立ち寄ったりして、雑踏のなかに身を沈めて気を紛らわした。そうしないとまったくやりきれない。ちなみにホラー映画も違った意味で、心の準備が必要だね。だって夜歩けなくなっちゃうよー、笑。それはそうと、こうした映画の少女役をつとめる女の子って、何千、何万っていう数の応募者から選び抜かれてるから、観ている者の心が虜にされてもおかしくないんだね。それは映画制作者側の思惑どうりなんだけど。

18武來庵:2011/07/01(金) 20:13:10
子供か動物が重要なパートを演じる映画(ホラーも含む)か、または子供が楽しめるアニメかファンタジー映画で、手持ちにあるDVDは次。
A Little Princess(1939)The Wizard of Oz(1939)Batman(1966)Willy Wonka & the Chocolate Factory(1971)Freaky Friday(1976)Taxi Driver(1976)The Black Stallion(1979)The Dark Crystal(1982)ET(1982)Never Cry Wolf(1983)The NeverEnding Story(1984)&II(1990)The Goonies(1985)Legend(1985)Little Shop of Horrors(1986)Stand by Me(1986)Labyrinth(1986)Adventures in Babysitting(1987)Mannequin(1987)&2(1991)Big(1988)The Big Blue(1988)Willow(1988)Bill and Ted’s Excellent adventure(1989)Batman(1989)Ghost(1990)Edward Scissorhands(1990)Bill and Ted’s Bogus Journey(1991)Don't Tell Mom the Babysitter's Dead (1991)Hook(1991)Rookie of the Year(1993)Dennis the Menace(1993)Secrete Garden(1993)Ninja Scroll(1993)The Sandlot(1993)&2(2005)Nell(1994)Jumanji(1995)A Little Princess(1995)Dragonheart(1996)Princess Mononoke(1997)Jack Frost(1998)Lost in Space(1998)Ever After(1998)Pleasantville(1998)Wild Things(1998)&3(2005)The Sixth Sense(1999)The Green Mile(1999)A.I. Artificial Intelligence(2001)Monsters,Inc(2001)Planet of the Apes(2001)The Lord of the Rings(2001)&2(2002)&3(2003)Wale Rider(2002)Tuck Everlasting (2002)Ice Age(2002)The Ring(2002)&2(2005)Spider-Man(2002)&2(2004)&3(2007)In America(2003)I Am David(2003)Uptown Girls(2003)Elf(2003)Matchstick Men(2003)Big Fish(2003)Finding Nemo(2003)Daddy Day Care(2003)Cheaper by the Dozen(2003)Daredevil(2003)Seabiscuit(2003)Pirates of the Caribbean(2003)&2(2006)&3(2007)The Incredibles(2004)13 Going on 30(2004)Shrek 2(2004)The Dust Factory(2004)Finding Neverland(2004)Team America: World Police(2004)A Series of Unfortunate Events(2004)The Phantom of the Opera(2004)Hidalgo(2004)Hell Boy(2004)&II(2008)Bad News Bears(2005)Chicken Little(2005)March of the Penguins(2005)King Kong(2005)Zathura(2005)The Pacifier(2005)Harry Potter and the Goblet of Fire(2005)Little Manhattan(2005)Narnia:The Lion, the Witch and the Wardrobe (2005)&Prince Caspian(2008)Fall(2006)Pan's Labyrinth(2006)Eragon(2006)Superman Returns(2006)Lady in the Water(2006)Happy Feet(2006)The Science of Sleep(2006)Eight Below(2006)Flushed Away(2006)Silent Hill(2006)The Golden Compass(2007)Ratatouille(2007)The Seeker(2007)Enchanted(2007)Joshua (2007)The Nanny Diaries(2007)August Rush(2007)The Reaping(2007)崖の上のポニョ(2008)Nim's Island(2008)こんなところかな。

19武來庵:2011/07/08(金) 10:50:38
上のリストで最も忘れられないのが、『パンズ・ラビリンス』Pan's Labyrinth(2006)。幻想と戦争というリアルな世界が不思議に絡み合って展開し、とてもサスペンスに富んだおとぎ話。これを観てみようとする人はこの後を読まないで欲しい。ストーリーを明かしちゃうのでね。映画は珍しくメキシコで作られ、スペイン語で話されているから、英語のサブを頼ることになる。DVDだから、サブを見過ごして解らないシーンがあるたびに、何度も繰り返し観ることができた。そういうことで映画をじっくり観るにはDVDに限る。

20武來庵:2011/07/12(火) 10:28:02
この映画の特徴はなんといってもCGIの見事さ。幻想的な美しい映像に溢れているが、それに騙されちゃいけない。グリム童話もそうだけど、たくさん残酷なシーンがでてくる。主人公である可憐な少女と病気がちな母。見知らぬ土地、見知らぬ人々。そこで継続する戦争という血生臭い殺し合い。悲劇の要素に溢れている環境のなかで、子供のおとぎ話が展開する。どこからが現実で何処からが幻想と迷うほど細部まで手のこんだCGI。実存しないはずのおとぎの世界が映像でリアルになり、観ているものの想像を駆り立てる。出演者たちの説得力ある演技、無駄のないダイアローグとテンポの速いストーリーの展開も息を呑むサスペンスを盛り上げる。大人にはおとぎの世界が理解できない理由とか、少女と大人達の間の超えることができない深い溝や相互の不信感とか、おとぎ話の古典的エッセンスがよく描き出されている。おとぎ話の第一級のストーリーテラー(Storyteller)として、この映画はひときわ輝いている。

昔々のその昔、地底深くに王国アンダーワールドがありました。嘘をつく者もいなければ、苦痛という言葉さえないほど平和な国です。そこに一人のプリンセスがいて、青い空やそよ風のある人間の世界に憧れていた。ある日、付添い人の隙をついて、そっと王国を抜け出す。長い石階段を昇って、とうとう人間の住む地上に。ところが、初めてみる太陽のあまりの眩しさに、持っていた記憶を失ってしまう。自分が誰なのか、何処から来たのかさえも。ついには病気や寒さに苦しみながら死んでしまう。国王はプリンセスを失ったことに悲しむものの、娘の魂がいつの日にか、きっと地底の王国に戻ってくると前知し、その日を首をながくして待っている。そして画面はフェイドアウト(fade out)し、地上の世界へと移る。

スペインの内戦は終わり、独裁フランコ政権の確立した数年後の1944年。父親を戦争で亡くし、再婚した母カルメンと二人きりのオフェリアは、臨月を迎えた母親と共に再婚相手ピダルの見知らぬ土地へ向かう。護衛の運転する軍御用達の大きな黒の乗用車に揺られながら数台を連ねて。道中もあとわずか。妊娠と旅の疲れからか、顔色がよくない。馴染みの顔は誰一人いない見知らぬ土地。周りを高い木々に覆われた細い一本道の山道を緩やかに登って行く。その先の開けた山の中腹に目的の大きな建物が見えてくる。それは数階立ての古いミル建物で、軍の指令本部として使われている。まわりに小隊が駐屯しているテントが見える。家の中では、メードや料理人たちが準備で忙しい。車から建物の右手端には古い造りの迷路(Labyrinth)の入り口が見える。

21武來庵:2011/07/12(火) 10:43:02
[主キャラクターの名前と詳細な解説]△プリンセス モァナ/地底国王の一人娘で人間界で死ぬ。△オフェリア/ヒロイン。都会育ち。おとぎ話に夢中になる年齢をやや超えている年頃。おとぎ話の本がいまだに大好きなので、母親からいつも小言されている。そんな母親だが、つねに慕っている。△ビダル/厳格な大尉。母の再婚相手だが、オフェリアは嫌っている。反フランコの武装ゲリラが活発な山間部に派遣され、その壊滅のため陣頭指揮を取る。今はなき父も偉い軍人で、死ぬことを少しも恐れていない。敵に対して冷酷無残で、部下から恐れられている。非常に几帳面で疑い深い。子供の出生は父の場所でという強い信念で、医者の意見に反して、臨月のカルメンを呼び寄せる。映画の終わり際ではゲリラ軍によって彼の小隊は壊滅し処刑される。△カルメン/オフェリアの母親。夫は服の仕立て屋職人。ビダルとの馴れ初めは夫が服を仕立てたことから。夫の死後、その仕立て屋にビダルが現われ再会。△メルセデス/ビダルの直下で働く召使いの女性。オフェリアにとっては母を除いて、たった一人のよき話し相手で慕っている。建物のなかで働く他のメイドやキッチンを監督。実弟がビダル軍と最前線で戦っているゲリラの武装兵士で、ビダルの動きをスパイしたり、ゲリラを秘密裏に助けている。△パン/アンダーワールドの国王の腹心。妖精を従える牧神。神出鬼没。地底への案内人。△ラビリンス/迷路ガーデン。何時作られたか不明である。ミルの建物ができる以前から存在し、かなり古い遺跡。中央部の広場には、円形状の大きい穴ができていて、地下回廊へと降りる入り口がある。そこから壁ずたいの螺旋の石段を数階おりると床に突き当たるが、そこにいつもパンが潜んでいる。天井が吹き抜けで、中央部には、背の高い石碑が建っている。石碑はとても古く、パンと少女と少女の腕に抱かれた赤ちゃんの姿が彫られている。満月になると、そこがアンダーワールドに行くための入り口になる。

[話から脱線するが気になったこと:スペイン内戦と映画監督の育ったメキシコは無関係じゃない。]スペイン内戦はスペイン軍の将軍グループがスペイン第二共和国政府に対してクーデターを起こしたことにより始まったスペイン国内の抗争だった。内戦は1936年7月17日から1939年4月1日まで続き、スペイン国土を荒廃させ、共和国政府を打倒した反乱軍側の勝利で終結し、フランシスコ・フランコに率いられた独裁政治を樹立した。フランコ政権の政党ファランヘ党は自らの影響力を拡大し、フランコ政権下で完全なファシスト体制への転換を目指した。内戦中、政府側の共和国派(レプブリカーノス)の人民戦線軍はソビエト連邦とメキシコの支援を得た一方、反乱軍側である民族独立主義派(ナシオナーレス)の国民戦線軍は隣国ポルトガルの支援だけでなく、イタリアとドイツからも支援を得た。(ウィキより)

22武來庵:2011/07/17(日) 20:57:19
山間での慣れない、新しい環境のなかで、少女にとっては母しか頼るものがいない。だがその母は臨月で病気がち。その夜、母はベッドの横で医者からの眠り薬でぐっすりの時、少女の枕元に見覚えがあるナナフシ(Stick Insect)に似た一匹の虫が現われる。最初、部屋を飛び回っていたかと思うと、ベッドの上に舞い降り、少女の顔の方に這って近づいてくる。旅の途中、山あいで見つけて以来、ずっと少女の後をつけているようだ。少女が恐る恐る妖精?と尋ねる。反応がない。そこですぐさま傍にあったおとぎ話の本を持ち出して、その虫に向けて両手で本を開く。そのページにはおとぎ話によく登場する妖精の黒いシルエットが大きく描かれている。虫はそれをじっくり眺めてから、体の位置を真似てみる。次に体の各部分が変化し、絵のように変身する。大きさは依然として小さいけれど、虫の姿から、背中に大きな羽をもった人間に似た姿になってみせる。シルエットだから、目も鼻もないが。

その妖精に導かれて迷路ガーデンの中央に。ぽっかり開いた穴から地下回廊のステップを下りて、薄暗い地下の部屋に降りる。光は外から射す月明かりのみ。中央には塔が立っている。そこでパン(Faun)と初めて出会う。この世のものとは思えない姿をした大きなモンスター。そんなパンにはじめ驚くが、少女はそれほど恐れてはいない。バンは彼女を見るなり、プリンセス・モァナと叫ぶ。そしてあなたのしもべとへりくだる。本当のお父さんはアンダーワールドを治める国王であること。その証拠は左肩の後ろにある月の印。少女はまったく驚いた様子。パンは中央の塔を指しながら、プリンセスが帰還できるようにと国王が我々に命じて世界中に作らせた地上とアンダーワールドを繋ぐ入り口で、これが最後のもの。ただ王国に入るには、人間ではダメ。人間に染まっていないか試す必要がある。それが3つの試練。数日後には満月になるが、その前にすべてを問題なくパスしなければならない。そう言ってパンは、試練の内容と手続きがわかる一冊の大きな本と小袋に入った3つの小石を少女に渡す。本は一人の時に見るようにと言う。少女は気になって、開いて中を覗くが、どのページも白紙である。それを聞こうとして本から目を離すと、パンはすでにいない。少女はパンの言葉を信じて、3つの試練にひとり立ち向かう。

23武來庵:2011/07/18(月) 21:32:49
少女の義父は部隊と共に、反政府の武装ゲリラ一掃に忙しい日々を過ごしている。少女のことには気がまわらない。ただ出産予定の子には将来の後継ぎということで深い関心を寄せている。そのため医者に妻の具合を機会があるごとに聞いている。パンと妖精は少女が一人の時にしか姿を見せない。母以外で話し相手になってくれるメルセデスに、パンと妖精のことを打ち明けるが、おとぎのような話には、本気に取らないばかりか、まったく関心をも示さない。今日の午後には、地元の有力者夫妻と軍の幹部を招いての大きな晩餐がある。母から丹精込めて作った新しいドレスとそれにマッチした靴を渡され晩餐に着るようにと言われる。入浴室に行き、大きな鏡で肩にある三日月の小さなあざをしっかり確認し、笑みを浮かべる少女。母には入浴する振りをしてドアを閉め、ひとりになる。浴槽に座り、例の大きな本を開いてみる。すると白紙のページに、絵や文字が大きく浮かび上がってくる。

正装に着替えた少女はひとり建物を出て、本の続きを読みながら、近くの山の丘まで歩く。そこには死にかけた巨大なイチジクの木が聳え立っている。イチジクの木は遠い昔のおとぎの頃には青々と茂り、森の生き物達に愛されていた。ガマガエルが根元に住み付いてから、木の生命力を奪われて、いまでは歪んだ巨大な幹と葉や花もない枝だけになってしまった。そこに住むガマガエルに三つの石を食べさせ、お腹から金の鍵(The Golden Key)を奪うこと。そうすればイチジクの木が再び生き返ることができる。コレが最初の遣るべきこと。

深く奥に窪んだ幹の地面近くに洞窟の入り口がある。その近くの地面は泥でぐちゃぐちゃ。靴はもうすでに半分汚れている。革張りの本を近くの乾いた場所に。大切なドレスは汚れないようにいったん脱いで、近くの枝に。袖なしのスリップと靴と白いソックスの軽装で、穴に潜り込む。少女が穴に消えた後、いたずらな風がドレスを枝から吹き飛ばしてしまう。

24武來庵:2011/07/19(火) 11:38:42
薄暗い穴の中は泥でぬかり、奥の方まで深く続いている。木の根っ子がクモの巣のようにそこらじゅうに露出している。いたるところにゴキブリのような薄気味悪い虫が這っている。少女の髪の毛やからだ中はすでに泥まみれ。腕や手の甲にも、虫が這い上がってくる。それでも少女は四つんばいになって先に進む。すると醜いガマガエルが入り口を遮って現われる。大きさはなんと少女の数倍はあるという巨体。少女とガマガエルは数メートル離れて目と目で向かい合う。長い舌を自由に伸ばし、少女のほっぺをぺロッとなめて威嚇するガマガエル。それでも少女は少しも怯まない。手に握り締めていた魔法の石をチェックする。石が虫に変身している。ガマガエルの前に差し出して見せる。食欲旺盛なガマガエルは長い舌を伸ばし少女の手から奪い取り、それを一飲み。その途端、お腹の内容物が大きく膨張し出す。ゼリー状の大きな塊りとなって口から吐き出る。ガマガエルと同じぐらいの大きさの塊り。その横で、ガマガエルは空気をなくした風船のようにして死に絶える。探していた金の鍵は、その塊りの上近くにあり、すぐに見つかる。[教訓そのいち:恐怖に立ち向かう勇気と、悪を退治し善を成す正義心を持つことの大切さ。]

ホッとして洞窟から這い出す。外に出てみると、あるはずのドレスがない。少し遠くに目を遣ると、数メートル離れた地面からなにか突き出ている泥まみれの塊りがある。近づくと、それがドレスであることを発見する。

26武來庵:2011/07/19(火) 15:42:13
母はメイドに家中を探させるが、それでも少女の行方が分からない。土砂降りだった雨がもう止んでいる。メルセデスはゲリラと連絡をとるために外に抜け出すが、そこで見つけたものは山から下りてくる少女の姿。両腕で本をしっかり抱え、顔は泥だらけ。見覚えのあるドレスを着ているが、それも泥だらけで、今朝台所にきて披露したときの素敵なドレスの面影はない。さっそく、晩餐途中の母に伝える。母はひとり席をはずし、娘を入浴させる。晩餐で夫に娘の印象をよくしようと必死だった母は大きく落胆。しかもドレスも靴も台無し。罰として食事抜きで寝室に行くようにと娘を叱る。その後、少女は部屋を抜け出し、パンに会いに迷路の地下に行く。金の鍵は後で必要になるから持っているようにと言われ、新たに魔法のチョークを渡される。

次の日入浴室で、2番目の課題に挑戦しようと本を開く。赤いインクが現われたと思ったら、見る見るうちに、ページ一面が真っ赤に染まる。その途端に隣の部屋から母の悲鳴が聴こえる。急いでドアを開けてみる。部屋の壁に寄りかかって、母が震えながら、小声で助けを求めている。激しく出血し、差し伸べている手や着衣は血まみれである。少女は本を床に投げ出し、外にいる義父に必死で救いを求める。その後、医者が駆けつける。手厚い看護のもとに母は絶対安静が必要だと告げられる。そこで少女はひとり部屋に移される。メルセデスは少女のベッドを整える。母を心配のあまり、途方に暮れている少女。メルセデスはそんな少女をそっと胸に抱きかかえて慰める。子守唄を聞かせて欲しいと少女にせがまれて、耳元で口ずさむチューン(Tune)。その物悲しい旋律は映画のテーマ音楽でもある。バックグラウンドで流れている、このメロディーは、映画をより美しく、また悲しくもしている。

27武來庵:2011/07/20(水) 15:18:28
その夜、一人で眠っている少女の部屋にパンが現われる。ベッドに近づく物音で目が醒める。2つ目の課題は終わったかと聞かれるが、お母さんの具合がとても悪くて、それどころじゃないと答える。パンはそれを聞くなり、言い訳にならないとたしなめる。そしてマンドレイクの根っこを取り出して少女に渡す。根の形は、どこか赤ちゃんの姿に似ている。この魔法の根を新鮮なミルクを注いだ器にいれて、母の寝ているベッドの下に置くように、それと毎朝2滴の血を与えるようにと助言する。もうすぐ満月、時間が迫っている。手を合わせて懇願するように言い聞かせる。今度の課題の案内役をしてくれると言いながら、日頃肩から提げている妖精の入った籠を渡す。モンスターが寝ているとっても危険な場所に入るのだからと言いながら、大きな砂時計を渡す。そこで見かけるご馳走には決して、手を出してはいけないと念を押す。それが命に関わることだからと最後の言葉を残し、その場から姿を消す。

ベッドから起き上がり服に着替えた少女は、ベッドの横に腰掛け、いつものように本を開く。やがて絵と文字が開いたページにくっきり現われる。課題の手順を読み終えると、早速開始する。まず部屋の壁に魔法のチョークでドアとなる長方形の線を引く。ドアが本物になり、押して開く。そこを入り口にして秘密の部屋へ入る。降りて入ったら、砂時計を入り口に置いてスタートさせる。秘密の部屋は、まるで中世の寺院の地下室を思わせる。ミルの建物と比べたら御殿のよう。長い回廊を進むと、その先には広いホールがある。奥の突き当たりの壁には暖炉が赤々と燃えている。その他には何も聞こえない。暖炉の手前には大きな長いテーブルが置かれている。その上には美味しそうな食べ物がいっぱい、手付かずに並べられている。焼きたてのローストビーフや飲み物や瑞々しい果物やデザートの数々。そのテーブルと暖炉の間には、人間の姿に似たモンスターが両肘をテーブルに置き、椅子に腰掛けた状態でじっとしている。少女が近づいても、まったく動く気配がない。どの体の部分も動いていないので、呼吸しているとも思えない。そこから視線を離して上を見遣ると、天井には壁画が幾つか描かれている。どれにもモンスターと子供たちの姿。よく見るとモンスターが子供たちを食べている場面ではないか。そのすぐ下の床には、かつては子供のものだったと思われる、小さい靴やブーツが山のように積まれている。肩から提げた籠のとびらを開け、3匹の妖精を放つ。すると左手の壁にある古いロッカーに少女を導く。それから鍵を差し込むよう手招きする。少女は持っていた金の鍵を鍵穴に入れ、小窓を開ける。奥の方に何か入っている。それを手を差し入れて取り出す。包んでいる布を開けると、先が鋭く尖った金色に輝く短剣であった。

28武來庵:2011/07/20(水) 19:00:29
何事もなく安堵したのか、テーブルの上にある豪華な食べ物が気になり始める。横目で見ながらの帰り際、編みかごに盛られた、とっても甘そうな葡萄の房が目に入る。有り余るほどの食べ物、そこからちょっと失礼しても、誰も気づくとは思えない。妖精たちの必死の静止を振り切って、大き目な一粒の葡萄を指で摘まんで口に運ぶ。するとどうだろうか、テーブルの向こうで、死んでるように眠っていたモンスターが目を覚ます。食べ物に気を取られているので、少女はまったく気付いていない。美味しいので2つ目。その葡萄を食べる頃には、背がひょろ高い、痩せこけた人食いモンスターは少女のすぐ背後。まさに襲いかかろうとする瞬間、妖精たちはモンスターの前に飛びはだかって、必死に邪魔している。背後の物音にやっと気づいて振り返る少女。その少女の目の前で、モンスターは2匹の妖精をそれぞれの手で鷲掴み。そうしたと思ったら、順番に頭から丸かじりし始める。その度に引き裂かれた妖精から出た血が四方に飛び散る。モンスターの口元も赤く染まる。恐怖に慄いた少女はその隙をついて、来た道を駆け抜ける。モンスターは追跡を弛めない。距離は確実に縮まっている。皮膚が醜く垂れ下がっている細い両腕、生気がないとても細い両足、ぎこちない歩調。モンスターは、まるで何も纏っていない痩せこけた老人のようだ。

少女はドアの方に、必死で逃げ帰って来る。ところが少女が辿り着く前に、時を刻んでいた砂時計の砂が全部落ちきってしまう。必死に走って来る少女の目の前で、なんと開いていたドアは自動的に閉まってしまう。背後に近づいて来るモンスター。部屋に下りるときに使った、壁にもたれている椅子の背もたれいっぱいに足を掛けて登り、届いた天井にチョークでドアを書く。そして急いで、そのドアをこじ開ける。伸ばした手を天井の向こう側に掛けて、力を絞ってよじ登ろうとする。肩まで何とか出る。手を這わせ次は上半身。その次は腰の部分と徐々に体は天井の外に。まだ靴を履いた足の部分が宙に浮いてバタバタしている。そこに黒光かった長い爪を持ったモンスターの細長い手が伸び、あと数センチのところ。危機一髪。少女はドアの向こう側に脱出する。そのドアは直ちに締められ、するとドアは消えてなくなる。少女が立ちすくんでいる場所は彼女の見慣れた部屋の床で、ベッドがすぐ横にみえる。少女はホッと胸を撫で下ろす。生き残った妖精が彼女の肩に止まっている。[教訓の2つ目:ルールを守り、欲に打ち勝つ強い心を持つ大切さ]

29武來庵:2011/07/21(木) 15:52:47
朝一番、ひとりを確認して母の寝室に入る。ベッドのなかで横になっている母。少女がいることにはまったく気づく気配がない。時々口から洩らす苦しそうなうめき声がベッドから聞こえてくる。テーブルのうえには、メルセデスが毎朝搾ってくる新鮮なミルクの瓶が置いてある。それを器に移し、持って来た魔法の根っ子を浮べる。すると根っ子は乳飲み子のように動き出す。その容器を両手でしっかり抱え、ベッドの下に忍ばせる。2滴の血は噛んだ人差し指の傷から。すると瞬く間に効果が現われる。ずっと高かった熱が下がり、母は快方に向かう。看病している医者にさえ、まったく説明ができない。少女は元気になった母と二人して、同じベッドでトランプゲーム。久しぶりに、一緒にいられる時間に少女の顔には、満足そうな笑みが戻っている。

その夜、少女の部屋にパンが現われる。お母さんが元気になって、もう何も心配することがないだろうと言いながら、ベッドに近づいてくるパン。ベッドから起き上がり、感謝の言葉で返す少女。あと三日で満月になる。さっそく2番目の課題はどうなったか聞いてくる。妖精の籠を返す際、扉をあけて中を見せる。妖精が一匹しかいない。その一匹が籠から飛び出す。ちょっと問題が起きたと口ごもる少女。黄金の短剣を手渡している少女の顔は芳しくない。怪訝な顔をしているパンの耳元に妖精が飛んで行き、なにやら囁く。パンの顔色が一変する。事情を知ったパンは怒り出す。あれほど念を押したのに、ルールを破ったことを叱りつける。王国には戻れない、人間の世界で惨めに生きるしかない、とさんざん責め立てる。もう二度と会わないだろうと言い捨てて、パンと妖精は消えてしまう。

30武來庵:2011/07/21(木) 16:05:23
次の朝になると、母の具合を心配して寝室にいく少女。母はまだぐっすり眠っている。根っ子のようすをみるために、ベッドの下にもぐり込む。そこに義父が、妻の寝室から聞こえる物音に気が付いて入って来る。ベッドの下から突き出ている足を見つけ、無造作につかみ引きずり出す。一体そんなところで何をしてるんだと怒鳴る。そして怪訝そうにベッドの下を覗き込む。奥に置いてあった器を見つけ取り出す。その中には根っ子とミルクが入っている。臭いを嗅ぎ、その異臭に顔をしかめる義父。その根っ子を掴んで、何だ、これはと、少女に詰問する。妻はその喧騒に目を覚まし、ベッドから起き上がる。夫から目の前に差し出された根っ子をみる。それを取り上げて、なんでこんな物がベッドの下にあるのか問い掛ける。少女は母に向かって、パンから貰った魔法の根っ子で、お母さんの病気を治すためと正直に話す。それを聞いた義父はまったく呆れた顔をする。そして妻の方を向いて、変な本ばっかり読ませるから。こんな子になったのは、お前のせいだと妻を責める。妻は夫に二人きりにさせて欲しいと頼む。義父はうなずき、仕事にもどりるため、その場を立ち去る。

少女は続ける。パンが良くなるって言うから、その通りにしただけ。お母さん、良くなったでしょと問い返す。母は娘に向かって、お父さんのいうことを聞かなきゃ駄目でしょ。オフェリア、もうこんなこと止めて頂戴となだめる。暖炉の前に立っている母に駆け寄り抱き付いて、もうここにいたくない、どこか遠くに連れてってと哀願する少女。ねえ、今すぐ、お母さん。娘の頭を撫でながら、物事ってそんなに簡単にいかないのよ。もうちょっと大人になったら、人生っておとぎ話と違うって分かるから。世の中って、とても残酷なところ。苦い経験して、そういうこと学ぶんだと思うけど。そして持っていた根っ子を暖炉の火の中に投げ込む。それを見た少女は悲鳴を上げる。No, no!お母さん、no!母が戒める。オフェリア、魔法なんてこの世に存在しないのよ。誰にもそんなものは効かないの、解った?すると突然、暖炉のなかで炎に包まった根っ子が、奇妙な泣き声を上げて、のた打ち回る。そして直に動かなくなる。それと時を同じくして、今まで何もなかった母の容態が突然急変する。母は痛みのために、お腹を抱えて座り込み、少女は助けを求める。

31武來庵:2011/07/21(木) 18:26:09
母をいままで看護していた医者はちょっと前に義父の手で銃殺されてしまう。命令に背いて、ゲリラを治療していたことがバレてしまったから。そこで義父は部隊の軍医を呼ぶことになる。母の部屋では数人の看護婦が忙しくしている。その中にメルセデスの姿も。少女は部屋の外にあるベンチにひとり座り、途方に暮れている。母の止まることがない呻き声が部屋の開け放たれたドアから洩れてくる。メードが血で染まったシーツの取替えで少女の前を行き来する。何時間経ったのだろうか。突然、赤ちゃんの鳴き声が部屋から聞こえてくる。部屋から出てきた軍医が、ドアのすぐ近くにいたビダルにうなだれて、何か話している。少女の愛する母はこうしてこの世を去ってしまう。その後催された母の葬式の参列者の中に黒ずくめの服に、黒のベールを頭に掛けた二人、メルセデスと少女の寄り添った姿があった。少女の頼る大人はいまやメルセデスひとりになる。

射殺された医者と親密にしていたメルセデス。ひとりのゲリラが拷問のすえ吐いたスパイの存在の情報。必需品倉庫が前々日、ゲリラグループにより襲わた際、ドアの南京錠が鍵で開けられた事実。その鍵を以前任されていたのはメルセデスただ一人。ビダルのスパイの疑惑が一挙にメルセデスに向けられる。ビダルの今までにない意味深長な仕草から、メルセデスは身の危険を察し逃げ出す決心をする。少女の部屋に行き、そのことを告げる。少女はメルセデスに一緒に連れていくように哀願する。そこで二人は夜こっそり、ミルの建物を抜け出す。ところが一歩先を読んでいた義父は、部下と共に外で待ち伏せ、逃げる現場の二人を捕まえる。メルセデスはもちろんのこと、少女にもスパイの疑惑が掛けられる。少女は自分の部屋に監禁され、メルセデスは拷問のため納屋へ。運良くメルセデスは逃れ、自力で山際に隠れるゲリラグループと合流する。

32武來庵:2011/07/23(土) 20:05:10
少女はひとり部屋に閉じ込められて為す術を知らない。義父がこの部屋から出て行く前には、娘の裏切りに怒る余りに少女の顔を平手打ち。そればかりか近くにいた見張り番に向かって、この部屋に近づくものがいたら、真っ先に少女を撃ち殺せと命令する。知らない山間で、建物には軍服姿の兵隊たちが出入りしている。聞こえる銃声や爆弾の炸裂音から、戦火が日々激しくなっているのがわかる。掛け替えのない母は死に、その後ただひとり頼っていたメルセデスまでいなくなってしまった今、この先どうしてよいか分からない。

ひとり肩を落とし、茫然としている少女。床に腰を落とし、ベッドに寄りかかってボンヤリ周りを見つめている。そんなところに突然、あの見慣れた妖精が現われる。目の前に飛んできたので、そっと指を差し出す。すると妖精はそこに止まる。続いてパンが姿を現す。まったく予期しなかったこと。パンが話しかける。最後だが、もう一度チャンスをやるというのである。その言葉を聞いた瞬間、少女は起き上がり、パンの方に駆け寄る。そして思いっきり両手をその背中に回す。少女がコレほどまでに、この醜いモンスターであるパンに愛着を示すのは初めてのこと。とても心細かったにちがいない。そんな少女の頭をパンは、いつもの醜い細長い手で優しくなでる。今から言う命令に絶対服従して、決して逆らわないって約束すること。少女はうなずく。バンが続けて言う。お嬢様の弟を迷路の中央まで、至急連れて来るように。弟?その言葉を聴いて躊躇する少女。パンは絶対服従と念を押す。不安な顔は隠せないが、選択が他にない。鍵が掛けられ部屋からまったく出られないと訴えると、じゃあ自分でドアを作るのはどうかなと、パンは少女に魔法のチョークを手渡す。

33武來庵:2011/07/24(日) 22:39:27
乳飲み子はいつも義父のそば。義父の部屋は階下にある吹き抜けの製粉場の場所。壁一面を被っている木製の古い大歯車や機械や器具類、それに石の床に幾重も積み重ねられた大きな麻袋が部屋の半分を占めて、暗がりに見える。そばに2階の少女や母の部屋に行く階段がある。物音はなく、時折赤ちゃんの声が聞こえるだけである。朝に高い小窓から差し込む外光で、立て掛けてある梯子の途中に吊るした小さな鏡の前で髭を剃ることが日課。大きな窓がなく日中でもあたりが暗い。今はランプが灯りところどころを照らしている。事務所として使っている空間の、ほぼ中央には木製の机と椅子。彼の居場所となっていて、そこに座ってメルセデスや医者に命令を与えていた。デスクの上にはいろいろな小物が雑然と置かれている。一つしかない大きな出入り口のドアはいつも空き放たれ、廊下にでればダイニングや建物の外に行ける。打ち合わせや雑用のため直属の副官がそこを使って絶え間なく姿を現す。

少女が忍び込んだ時には義父がひとり、洗面器で顔を洗い、掛け鏡の前で切り傷を治療している。口から頬にかけて、大きく切り裂かれている。少し前にメルセデスから受けたもの。彼女が拷問される直前二人きりの時、油断するビダルのすきを盗んで、隠し持っていた果物ナイフで身体や手首のロープを解き、建物から逃亡する前にビダルに与えた最後の一撃である。それは日頃から鬱積していた彼女の憎しみの象徴でもある。ビダルはその傷を医療用の針と糸で縫い合わせている。針を通すたびに、堪えきれない痛みで唸る。それもようやく済み、ガーゼを外側から宛てがう。少女は義父の後ろ姿を見ながら、少し離れた机の前で、身を屈み隠れている。持っていたチョークが邪魔なので、伸ばした手で机の上にそっと置く。

義父が一段落して、机の方へやってくる。多分消毒と痛みを和らげたいのだろう。デスクの上にある洋酒ボトルを取り上げ、ウィスキーグラスいっぱいに注ぎ飲み干す。また同じように、グラスに注ぎ片手で口に運ぶ。その時ふと目を落とすと、机の上の端にまったく見覚えのない白いものが目に入る。グラスを元の机に置いて、摘まみあげる。チョークである。少し間思案していた顔が急に怒りに変わる。指に力が入り、チョークが粉々に砕ける。そして傍らにあった拳銃を取り上げ、室内を物色し始める。机の前に行き、そこを慎重に調べる。誰もいない。周りを見回す。今度は赤ちゃんの方へ行き、あたりを見回す。そこにちょうど副官が入ってくる。戦っている前線から帰還した負傷兵のことを話している。ビダルは急いで、その副官と共に部屋を出る。別の部屋に入り、負傷兵にインタビューするビダル。ゲリラグループは援軍により勢力を増強し、攻勢をかけてきている。ゲリラは50人以上と教えられる。ゲリラの動きを見張っているはずのいくつかの部隊が消息を断っており、ビダルの手元にいる部隊はわずか20人以下に落ち込んでいることを知る。ビダルは席をはずし、副官を従えて自分の部屋へ向かう。

34武來庵:2011/07/25(月) 01:24:01
義父が部屋からいなくなるとすぐに少女は机に行き、飲みかけのグラスの中になにやら注ぐ。母の眠り薬である。死後、誰もいない母の部屋で見つけ、形見にとオーバーコートの内ポケットに携帯していた。義父がもしこのグラスを空けてくれれば、ことが容易に運ぶ。それが終わると次に、赤ちゃんの声がする方角へ行く。机から数メートル奥に、ランプに照らされた揺りかご。その中にいる乳飲み子を毛布ごと両手で拾いあげる。赤ちゃんの顔を覗き込みながら、一緒に行こう。何も起こらないから心配しないでと優しく話しかける。そして向きを翻して、急いで歩き出す。出入り口に近づくと、反対の方から声が聞こえてくる。少女はすかさず、横に飛び近くの壁の隅に隠れる。副官と共に、足早の義父が入ってくる。ビダルは机の前に着くと真っ先にグラスを掴む、そして後ろを向いて副官に、至急本部に無線で応援部隊を要請するように命令する。副官は直ちに来た跡をたどり出て行く。ひとりになったビダルは机に向き直し、持っていたグラスを口に運ぶ。そして一気に自棄飲みする。深刻な事態を前にしてビダルは覚悟を決めているようだ。

その時外で大きな爆音が響く。今までにない近場での爆発。ビダルが音の方を振り返ると、出入り口の廊下側で赤ん坊と少女の姿が、閃光を受けてくっきり浮かびあがる。まさに部屋をすり抜け、出て行くところであった。赤ちゃんをよこしなさいと少女に向かって大声で怒鳴る。少女は首を横に振り走り出す。ビダルにとって赤ちゃんは、名誉の戦死を遂げても、ビダルの家名を後に残してくれる大切な跡取りである。何があっても取り戻そうとする。ビダルは逃げ出した少女の後を追う。だが足元がふらついて思うように歩けない。どうにか出入り口を抜け廊下を渡り、建物の外に出る。そこでビダルが見たものは、ゲリラ軍の総攻撃である。暗がりのいたるところで炎が燃えている。止まない銃声と銃口からの閃き。右手では自軍の兵士が数人、爆弾の破裂とともに大きく舞い上がっている。ゲリラの放つ砲弾が稲妻のようにあたりを照らす。遠くの方に迷路の入り口に向かっている少女の後ろ姿が見える。一方、安否を気遣っていたメルセデスは建物内に侵入して、武装ゲリラ数人を従え、2階にある少女の部屋に入る。隈なく探すが、少女の姿はどこにも見当たらない。どこに行ってしまったのかと思案している。

35武來庵:2011/07/25(月) 06:42:22
少女は赤ちゃんと共に、無事に迷路の中央に到着する。パンはすでに穴の入り口近くで待っている。少女の姿を見掛けると、早くこっちに来て、赤ちゃんを渡しなさいと手招きしながら叫ぶ。満月はすでに頭上にある。今が地底の入り口を開ける恰好の時。少女は言われたまま急いでパンに近づく。するとパンの右手に持つ、見覚えのある金色に輝く短剣が目に入る。少女は不安な顔をして、どうしてそんなもの持ってるのと聞く。地底の入り口を開くために、穢れのない血を一滴落とす必要があると言う。この短剣の先でほんのちょっと、小さな穴を開けるだけだから心配はいらないとなだめる。そして、これが最後の課題と誓う。時間がないから急いで渡しなさいと催促するパンに向かって、弟は渡せないと断わる。絶対服従を約束していたにもかかわらず、逆らったことで少女を叱責する。良く知りもしない弟のために、神聖なこの特権を捨てるとはどういうつもりか。そもそもこの弟のおかげでお母さんが死に、お嬢様にこんな苦しい思いをさせているんじゃないか。そんな弟をかばってまで、王妃の座を捨てるつもりなのかと問い詰める。少女は乳飲み子を強く抱いて、もういいと告げる。それを聞いたパンはとうとう諦める。仕方がない。気の済むように、妃殿下さまと最後の言葉を残して消える。[教訓その3:慈愛心の大切さ]

突然、迷路の中央広場の端に現われたのが、少女の後を追っていた義父の姿。少女の姿を見つけると一息つき、片手に持っていた銃を腰に刺す。そして少女の背後から近づいて行く。少女は義父が近づいていることなど夢にも思っていないで、パンと話している。義父には少女の後姿は見えるが、さっきから話しているパンの姿はまったく見えない。パンが消えたちょうどその時、義父の伸ばされた左手が右肩を掴み、少女を強引に引っ張る。何も知らずに体ごと振り返る少女。それが義父とわかると、見上げる目に恐怖が走る。赤ちゃんを抱えたまま、ただ震えながら立ち尽くしている。それを見た義父は、さらに近づいて両腕を赤ちゃんに回し、もぎ取ろうとする。少女はまったく抵抗しない。義父の目には怒りが血走っている。赤ん坊を取り戻し、いったん左腕に抱きかかえた義父。逆のほうを向いて立ち去ろうとする義父に向かって、未練がまだ残っていた少女は駄目と一言。その次の瞬間に思いもよらない恐ろしいことが起こる。義父は右手で腰にあった銃を、唐突に抜き出し、銃口を少女に向け一発。至近距離から、その放った銃弾は彼女に貫通する。力なく、少女がゆっくり目の前に持ち上げて見た左手は真っ赤に血で染まっている。直に彼女はその場に膝から崩れ落ちる。そして義父は何もなかったように、そそくさと赤ん坊を抱えて、その場を立ち去る。少女が撃たれた場面はアッという間の出来事。まったく考える暇を与えない。その銃弾はまさに僕の心臓をも抉る一発だった。まさか、そんな馬鹿な。こんな可憐な少女が、しかもこの映画の主人公じゃないか。よりによって義父の拳銃で、虫けらのように。まったく予想外だった。ハッピーエンドを夢みていた僕の心はもう粉々である。

36武來庵:2011/07/26(火) 00:51:15
迷路から出て来たビダルを待っていたのは、ビダル軍を壊滅し、勝利した武装ゲリラ兵の重々しい面々。全員で出入り口を取り囲んでいる。その中にメルセデスの姿がある。遠方では真っ暗な夜空に、大きく赤い炎が燃えている。それでもビダルは動じることなくゆっくり前へ進み、見覚えのある顔の前で立ち止まる。俺の息子だと一言いうと、両腕で乳飲み子を前に差しだす。メルセデスが前に数歩出てそれを静かに受け取り、また元の位置に戻る。この日のためにいつも携帯している懐中時計をズボンのポケットから取り出す。左手の手のひらで包み、固く握り締める。地面に体ごと打ちつけられた時、動いている針が止まるようにと。ビダルの軍人の父の伝説を継承した死に方。この子に大きくなったら父が何時死んだか伝えて欲しいと頼む。メルセデスはあなたの名前すら教えませんときっぱり。苦い表情をするビダル。横に並んで立っていた彼女の弟が拳銃を持ち上げると、毅然と立っているビダルの顔面に向けて、至近距離から一発。ビダルはその場で鈍い音を立てて倒れる。

映画はまだ終わりではなかった。カメラが執拗に、少女の姿を追っている。大きな円形の穴の縁に、やや横向きになって倒れている少女の体。ひっそりと置き去りにされたまま、冷たい地面にぐったり、まったく動こうとする気配がない。少女の左腕の半分から指先は、縁から穴ほうに突き出している。命を失ったかにみえていたが、まだ意識はある。口元は小刻みに震えている。ほとんど目は閉じられている。鼻から一条の血がゆっくりと流れ出る。彼女のオーバーコートから覗く白いドレスがまわりの闇夜にまぶしく映っている。

乳飲み子を両手に抱いたメルセデスが兵士たちを引き連れて迷路を歩いている。中央広場の端に出ると、地面に倒れている少女を見つける。すぐ背後にいた弟に乳飲み子を預け、急いで近寄る。傍にひざまずき、生気を失った顔をいとおしく見つめている。少女はぐったりとして、まったく彼女の存在に気づいている様子がない。メルセデスはしかたなく、そこに佇み、前にせがまれて歌ったあの子守唄を口ずさみはじめる。

アー神様、どうぞ。この場面を観ている僕の衝動。この映画はおとぎ話なのだから、こんな結末になるはずがない。魔法を使うパンが再び現われ、そして、なにか不思議な呪文をかけて、少女を元の元気な姿に戻してくれるだろう、きっと。そもそも少女が義父に撃たれたのは、彼の赤ちゃんを盗んだことが直接の原因だから、パンに大きな責任がある。そう思わずにはいられない。

少女の傷口から、ドレスを伝わって静かに流れ出る数条の赤い血。そのなま暖かい血がゆっくりと、宙に伸びた腕をつたわって音もなく、地下階段がある穴の深い闇の底に、指の先からしたたり落ちてゆく。パンの最後の命令に従っていれば、プリンセスになれたはずの少女。その願いを犠牲にしてまでも、乳飲み子の弟を守り、傷つけようとしなかった敬うべき心。その彼女から落とされた純潔無垢な赤い血のしたたりが幾つもの粒になって、穴の底にある石碑に降り注ぐ。暫くすると少女の目が大きく開かれ、あたりが光に満ちたと思いきや、突然風景が変わる。

37武來庵:2011/07/26(火) 06:40:12
アンダーワールドの壮大かつ絢爛な宮殿が映し出される。我が娘よ、立ち上がってこっちに来なさい。皇女を思わせる赤い華やかなドレスと靴に身を包んだオフェリアが立っている。不思議そうな面持ちで、指先からつま先まで自身の姿を見回している。まるでその姿が信じられないように。それがすむと声のした方に歩いて行く。聳えるほどの高座に満足そうな顔をして白髪の王が威風堂々と座っている。それを見上げて少女が思わず、お父さんと叫ぶ。王の右手横の高座に王妃が、笑みを浮かべながら見下ろしている。その両腕には乳飲み子が眠っている。王妃はなんと母カルメンにそっくりではないか。王の左横には空席の高座もうひとつある。

王がおごそかな口調で少女に語りかける。自らの血を流したことが、プリンセスになるための一番大切なテストであったと。パンや妖精たちが高座を支えている円柱の間から姿を現す。見事な選択でしたね、妃殿下さまとパンは少女に向かって頭を下げ礼をする。

闇夜の迷路で、致命傷を負って横たわり、口元を震わせながら苦しく呼吸している少女と、手遅れで途方に暮れて子守唄を静かに奏でているメルセデスの姿が映る。少女の目には、アンダーワールドで起こっている一部始終が見えているらしい。開いた目の瞳は輝き、口元にかすかな笑みも浮かべている。

王妃は、少女に向かってやさしく語りかける。さあ王の横に行って座りなさい。お父様はこの日が来るのを長く待っていたのよ。3匹の妖精たちが少女の周りを飛び回り始める。王座を遠巻きにして観覧席から観衆が祝福の拍手を送っている。その瞬間、地上にいて横たわっていた少女の目はゆっくり閉じられ、口元の震えは止まり、息は途絶えまったく動かなくなる。それを見届けたメルセデスは大粒の涙を流して泣き出し、少女の胸に顔を埋める。メルセデスには少女が王国のプリンセスになったことなど、なに一つ知らずに。

(ナレーターが続く)父の王国に帰還したプリンセスは、何百年もの長きに渡り、正義とそのやさしい心でアンダーワールドを統治し、そこの住民にいつまでも愛され続けたと伝えられている。プリンセスが地上にいたときに残した足跡が何処で見つかるかは知る人ぞ知る。あのイチジクの枝に咲いた一輪の白い花。完(著作権©2011武來庵)

38武來庵:2011/07/26(火) 06:49:19
もしオフェリアが現世に生きていたとしたら、孤児としての苦しみや悲しみを味わうことになる。彼女の望みが叶い、地底の楽園で永く幸せに暮らすことができたのだから、この映画はハッピーエンドに違いなかった。だけど、どうしても僕の慰めにならない。彼女の肉体的死が僕の心をどんだけ悲しみの底に落としたことか知れやしない。アンデルセンの「マッチ売りの少女」という物語があるが、それを読んだ直後に胸を襲ってきた、あの狂おしい悲壮感がふたたび蘇る。マッチ売りの少女が飛び立った世界は天国である。寒さに凍えることもなく、飢えることのない世界で、いじわるな両親とも顔をあわせなくてよい世界。そしてなによりも彼女を生前唯一愛してくれた亡きおばあちゃんの元で一緒に暮らせる世界。そんな世界へ旅立った次の朝、眠っているように凍え死んでいる少女のなきがらが通行人によって発見される。それが抑えようのない大粒の涙となって、目からこぼれる。少女の八方塞がりの救いようがない悲劇。ごく短いストーリーであっても、容赦なく読んでいる僕の心を大きく揺さぶる。

39中途半端自殺未遂者:2011/07/26(火) 13:03:54
こんにちは。

武來庵さんと呼ぶべきでしょうか、管理人さんと呼ぶべきでしょうか、
そのようなことをちょっと悩みつつも、武來庵さんと呼ばせていただきます。

「パンズ・ラビリンス」のストーリー、読みました。
お話はそれとは少し逸れてしまうのですが、これまでの武來庵さんの文章を
読んでいた限りでは、武來庵さんは女性の方なのかなと勝手に思っていました。
でも、このスレの文章を読んでいて、男性の方なのかなとも思いました。

実際、性別に関しては分かっても分からなくても、私はどちらでもいいと
思っています。もちろん、武來庵さんにかかわらず誰にしてもそうです。
男性だからああだとか、女性だからこうだとか、それは確かに性別が
違えば違う部分も多少はあるでしょう。でも、どちらであるにしても
人間であることに違いはないと私は思います。

今までの武來庵さんの文章に私は女性的な優しさを感じていたようでした。
そして、このスレでは男性的な熱意を感じました。
でも、このスレ以外での武來庵さんの文章は女性的な優しさを
持っているように感じます。

どちらが良いとか、互いが対極にあるとか、そういうことはないと思います。
常に双方があって、必要に応じてどちらが前面に出ているか、
ということなのでしょう。
もしかするとまた別の要素があるのかも知れません。
何にしても、そのどちらもが武來庵さんにとって宝物であるように
私は思います。

さて、お話を「パンズ・ラビリンス」の方に戻しますが
(戻すといいつつ、私が最初の方にさほど触れてはいなかったのですが)、
DVDは見たいなぁとは思ったのですが、レンタルの方であるかどうか
分からず、かといって買うにしても高校生の私にはDVDの値段は
ちょっと高いので、ひとまず内容を読んでみようと思って読みました。

私の場合は大概、文章であれ、映像であれ、その作品の主たる作者が違えば、
同じ内容であっても楽しめます。また、同じ作者でも表現方法が違えば
楽しめます。そういう意味でも読んでみました。

武來庵さんのストーリーの文章を読んでいて、まるで映像を見ているかの
ような気分になりました。時には頭の中に映像が浮かび上がって、
キャラクターが動き、背景や景色が美しく映ります。
決してそれは映像を文章に落し込んでいるからではなく、
武來庵さんの確かな筆致と筆力が成しているものなのだと私は思います。

お話の内容ですが、私は批評家でも評論家でもないのでこれといって
上手いことは言えませんが、ただやっぱり武來庵さんと同じように、
ハッピーエンドではあるのだろうけれども、悲しい気持ちになりました。
彼女は確かに別世界で生きていますが、それでもまた別の世界の人々の
悲しみは拭えないのでしょう。別世界にいる彼女の命の明確さは、
むしろ以前いた世界での彼女の死の明確さを表しているように思います。

また別の話になってしまいますが、
私は、好きになった作品は何度も何度も見たり読んだりします。
映画であれ、本であれ、まるで同じ曲を何度も聞くように、
時には文章や台詞や風景を覚えてしまうほどに、何度も。

すみません、大分長くなってしまいました。
もし読んでくださったのでしたら、本当にありがたく思います。

40武來庵:2011/07/27(水) 07:58:32
>>中途半端

ブライアン(武来庵)=アメリカの巷によくある男性名。第一人称に俺って書くこともある。たとえばロック音楽の話をするときとか。気分次第で使い分ける。周りが女だらけの家で生まれ育ったこともあって、言葉が女らしいか男らしいかあまり気にしない。また大人が赤ちゃんに、赤ちゃん言葉を使うように、相手の言葉に合わせる場合がある。例えば政治家には政治家に、教育者には教育者に分かるような語彙や話し方を選んだり、相手がヤクザ言葉を使ったら、こちらもかなり乱暴な言葉を使う。臨機応変、あんまり深く考えない。相手となるべくおんなじレベルでしゃべりたいからね。

こちらの所有のDVDはみな中古で安く仕入れたもの。たとえばeBayとか、個人コレクションからの買取。定価で買ったものはない。中古DVDがあるといいね。

41中途半端自殺未遂者:2011/07/27(水) 08:54:50
>>武來庵さん

お返事ありがとうございます。
名前では男性かなと思いましたが、インターネットをしていると
男性のようなハンドルネームの方でも女性だったり、
またその逆だったりします。多くの方は別に自分の性別を
隠しているわけではないのですけれど。

確かに私も相手と同じ高さに立って会話したいと思います。
ただ、それにちょっとだけ、相手を敬うような気持ちを
足して話せたらいいなとも思います。
だから、実際のところ、同じ高さに一度立ってから
小さな段を一つ下りてお話する、そのような具合です。
でもあまり上手くは出来ませんね。

中古DVDに限らず、色んな中古品がその類を売り買いする
お店だと沢山ありますね。欲しかった物が思いの外安かったり
してちょっと嬉しくなります。
大概の物は中古品と言うとやっぱり金銭的な価値は下がって
いるものなのでしょうけれど、必要としている人にとっては
中古品の方が安価という意味で価値がある場合もありますし。
安いという価値っていうのも、聞くと一瞬おかしいと
思うかも知れませんけれど、同じ物で安価な方が需要がある
ならば、安価な物の方が価値があるのかなと思ったりです。

42武來庵:2011/07/29(金) 01:57:09
>>中途半端

相手の性別が気になるのなら、先に聞けばいい。

英語には日本のような敬語なんてない。相手を敬う前に、正しいことを言えばいい。話の内容が子供か大人か、教育があるかないか、それが問題。相手を尊敬するのはその後。

正確に言うと物の価格は需要と供給で決まる。中古品でもビンテージになれば価格は高くなるが。DVDはだだの消耗品だから中古は安いのが当たり前。気を付けるのは欠陥品。深い傷があると映像がスキップする。図書館でDVDの貸し出しがあるから、そちらで探すのもいいかも。別に映画は嗜好だから無理して見る必要もないし買う必要もない。

43武來庵:2011/07/29(金) 02:25:48
[この映画が特に好きなところ]すべての登場する人物像にどこか共感し、まったく憎めないところ。だから余計に悲劇が際立っている。軍人は軍人らしく勇敢に、医者は医者らしく人道的に、母はどこにでもいる子供を思う優しい母、メルセデスは厳しい環境のなか女性の優しさを失わず、政府軍はキチンと命令に従い、その軍隊と戦っているゲリラの兵士たちは高い理想をもって勇敢に。この映画に現れるどの人間もそれそれがもつ社会的役割や任務を立派にやり遂げている。それにもかかわらず状況によって間違った場所や時代にいれば、立派な人間たちも憎しみをもってお互いは争い、必要もない血をながす。人間社会の悲劇の縮図をみる。

性格の悪いものや卑怯なものが一人も出てこない。みな勇敢に一生懸命生きている。アンタゴニストの義父でさえ、僕は憎しみのすべてを向けることができない。他の部下から恐れられているが、尊敬されている軍人。自分の名誉のため、国の命令に従い、また信念のために命を捧げている軍人。どこの国でも尊敬される存在だろう。彼は残酷かも知れないが、軍人としての彼の任務を遂行しているに過ぎない。人道的な兵士が果たして軍隊で成功するかは疑問。ましてや軍の司令官にまで出世するには、敵に対するそれなりの残酷さが必要なのかもしれない。

映画の結びとして、息を吹き返したイチジクの花を持ち出しているくだりは、おとぎ話としてはユニークではないがとても洒落ている。映画の出だしから最後の最後までのストーリーが、まったく手をぬいていない。その完成度の高さに感銘する。

[気づいたこと]この映画は寓話として、ひとつの君主論が展開されている。独裁フランコ政権のアメと鞭政策、強烈な反共産主議政策を代表とするひとつの軸と女王オフェリアの統治の仕方がその正反対の軸。統治者たるものが持つべき3つの徳は恐怖に立ち向かう勇気と、悪を退治し善を成す正義心を持つこと[教訓1]、ルールを守り、欲に打ち勝つ強い心を持つ[教訓2]、慈愛心の大切さ[教訓3]。それがあれば、人民から愛され、長く権力の地位にいられる。

44中途半端自殺未遂者:2011/07/29(金) 11:32:40
>>武來庵さん

ええ、でも別に相手の性別についてのみ関心があるわけではなくて、
相手について関心がある場合に、相手の性別も気になります。

これにつながってくるのですが、敬うような気持ちというのは、
相手の話を聞こうとする気持ちと言い換えていいと思います。
自分の言い分を言うにしても、それに対して相手が納得しているかは
相手の話を聞かなければいけないですし、相手の話に自分が納得する時も
同じように相手の話は聞かなければならないように思います。
話の内容が子供であるならば、何か諭す必要もあるでしょうし、
教育がないのなら、何か教えなければならないでしょうし。

ただ、相手について理解しなければ、相手がどのような人であるかは
分からないと私は思います。
理解の前に関心があって、相手への関心の中の一つに性別がある、
そういったところです。
でも重要なのは、相手の体の性別ではなく、相手の心の性別であるように
思います。大概はそれは同一しているのかも知れませんが、そうではない
ことがあることも知っているのならば、その確率はないわけではないでしょう。
ならばその点に関しても注意を払わなければなりません。

相手が、心が強い人であるならばいいのでしょうけれど、
でもほとんどの人は心に傷を負っているように思います。
心に傷を負っている人がさらに人の心を傷付けて、
その中でも心が弱い人は心に傷を負い続けて、
やがて病に陥ってしまうのではないでしょうか。
ですから、目の前の苦しんでいる人を助けることはあくまで対症的で、
抜本的には何も変わっていない、そのように思います。

すみません、大分横道に逸れてしまいましたが、
敬語というよりは大まかに言うと、相手の話を聞くという気持ちがあれば
いいと思っています。ただ形式的に、目上の方や初対面の方、その他必要に
応じて敬語は使えばいいと私は思います。

そうですね。需要が少なくとも市場でのストックが多ければ、
それをどうにか売らなければ丸損でしょうからね。
DVDやCDの中古品を店で買う場合は、希望すればディスクの状態を
見せてくれるので、その辺りは問題ないかと思われます。
地域によって違うのでしょうけれど、私の住む地域の図書館のDVDは
大分古い作品しかなかった覚えがあります。もちろん、それはそれで
面白いのですけれどね。
でも、必要のないものでも、積み重なれば何かしらの意味や必要を
もたらしたりしませんか? それが良いか悪いかは別として。

45武來庵:2011/08/09(火) 21:01:56
最近、俳優メル・ギブソンが監督したThe Passion of the Christ(2004)をDVDでみた。ジュダの裏切りから始まってキリストがゴルゴダの丘の上で処刑され復活するまでの聖書にある物語を映画化したものである。イエスキリストが鞭の刑を受けている場面や十字架に貼り付けられる場面があまりにも生々しいので、目を背けてしまったほどだが、そのリアルさがこの映画の大きなセールスポイント。

この映画を観ているときには「パンズ・ラビリンス」(2006)のことは頭に無かった。ところが、改めてパンズ・ラビリンスのストーリーを追っていくと、この2つの映画の類似性に気付く。どういうことかというと、キリストの話はこうだ。キリストは人類の罪を負って死んでいった。イエスは人類のために正しいことをしているのだが、人間界に蔓延している金欲や嫉妬や陰謀に巻き込まれ、その人間の手で磔にされ殺される。ところがイエスは人間ではない。神の子供である。肉体は死んでも、魂は死ぬことはない。彼は復活し、お父さんのいる神の国に入る。

「パンズ・ラビリンス」の監督・脚本はギレルモ・デル・トロ。彼の生まれ育った国メキシコは敬虔なカソリックの国。その監督が長年抱いていた創作物語の映画化がパンズ・ラビリンスだ。多分監督は幼い頃からキリストの生誕から死にいたる話は何度となく教会や学校、あるいは両親から聞かされ、または自ら聖書を読むことによって夢にまで現われるほど熟知しているに違いない。

彼のキリスト教的バックグラウンドがなかったら、パンズ・ラビリンスの童話は生まれなかっただろうと想像する。最初観たときに、マッチ売りの少女を思い起こす物語のアイデアが何処から生まれてきたのか非常に気になっていたが、キリスト教社会で生まれ育った者には突飛でも何でもない、ごく馴染みのある物語なのかも知れない。

46きりこ:2011/08/18(木) 06:44:37
  もうずっと前の事ですが、ビョークのダンサーインザダークを見てみなきゃ
 良かったと思った位、暗い気持ちになった事だけ覚えています。でも彼女の
 歌はとても好きです。でも最近、もう一度観たいという気持ちです。落ち込む
 事が増えてからは、ハッピーな映画は観る気が起こりません。管理人さんの
 説明されているメルギブソンのパッションは、生活がどん底の時に観ました。
 私は子供の頃キリスト教の中で育ったので、あの映画は観てる間は涙が止まり
 ませんでした。

47武來庵:2011/08/21(日) 04:17:35
>>きりこ

BjorkのDancer in the Dark(2000)は観ていないし、初めて知った。リビューを読んで映画の話の筋を知った。フィクションでホッとするほど悲しい話。彼女の歌のスタイルはちょっと苦手だが、彼女の人生そのものに興味を持つ。体を張って正直に生きている女性というイメージがあり尊敬さえ感じる。音楽家としてガガとよく比較されてるけど、今そのガガの歌に凝っている。

「ハッピーな映画は観る気が起こりません」とは多分同じことなのかも知れないが、例えば日本にいたときは正月になるたびに憂鬱になったもの。年末も新年も、一年でとりわけ特別ということもないし、また一つ年をとったなあと、寧ろ悲しくなる。アメリカではクリスマスの時期になるたびに滅入ってしまう。クリスマスソングは嫌いじゃないが、外に出てお酒を飲んで騒ぐほどのものではない。周りのパーティ気分と自分の気持が大きくかけ離れる時期であり、そのことでより淋しくなる。その時期になるとテレビには近づかないようにしている。無神というのではないが、人生を知れば知るほど、教会や神社やお寺で教える神や仏様から遠ざかっていく自分に気づく。

そうは言うものの、生活に笑いや歌がないと生きていけない。コメディータッチのテレビや映画はよく見る。残念ながら、つまらないコメディー映画はたくさんある。日本の古い歌謡曲は凄まじいほど知っている。ギターを弾きながら「千の風になって」や聖子ちゃんの歌を歌ったりする、笑。「U工事」も面白いし、ファン。数ヶ月前見てお腹を抱えて笑ったのが「The Ringer」 (2005)。普通コメディーの筋は、憧れの女性(Katherine Heigl)の前では頭のよさをひけらかしたり、カッコよさで気を引こうとする。この映画は逆で、知的障害者を装って彼女に近づくところがユニーク。扱っているトピックスがトピックスなだけに、人によって好き嫌いが分かれる映画。ちょっと悪い趣味と目をしかめる人もいるだろう。初めに知的障害者として彼女に近づいたものだから、そのパターンは崩せない。本当のことを言ったら嫌われるという恐れと、彼女に好きという感情を打ち明けたいのだが、それができないという葛藤がなかなか面白い。実に演技が上手く大笑いしたものだ。

48武來庵:2011/08/21(日) 04:56:04
他にも少女が主人公で涙ぼろぼろにさせられる作品がある。映画ではないが、学生時代に読んだ伊藤左千夫の小説「野菊の墓」とアン・フランクの残した「アンネの日記」を思い出す。映画では先出の「禁じられた遊び」(1952)や「火垂るの墓」(1988)がある。

トム・ハンクスの「Big」(1988)や昔、日本で何度もテレビで見た「小さな恋のメロディ」(Melody/S.W.A.L.K、1971年のイギリス映画)は甘酸っぱい哀愁を誘い好きな映画。後者はビージーズの挿入歌と映像がうまくマッチしていて清清しさを感じたものだ。

ミュージカル映画にも子供が大きな役割を演じる映画がたくさんある。例えば大好きな「The Sound of Music」(1965)。「The Wizard of Oz」(1939)もその一つ。ずいぶん前にみた「Mary Poppins」(1964)は、それほど印象がない。「アニー」(Annie)はまだ観ていない。ところで女優ジュリー・アンドリュース(Julie Andrews)を観る度に、こんな女性がお母さんだったらなといつも思ってた、笑。

次に挙げるコメディータッチの映画って意外に好き。子供の心を持った主人公のMannequin(1987)、13 Going on 30(2004)、Uptown Girls(2003)。また古い映画のリメイク(Re-make)で、まったくの作り話のKing Kong(2005)はいいと思った。物語の筋がすでにわかっているからと軽い気持で観ていたのに、終わり際には思いもよらずジーンと胸が詰まってしまった。テレビでみた覚えがあるPaper Moon(1973)には少女テイタムオニール(Tatum O'Neal)が実の父と共演してる。この映画の中の、彼女のあどけない幼い顔は思い出すけれど、ストーリーの結末は忘れている。彼女はその役で、オスカーの助演女優賞を10歳の最年少という記録を立てて授賞している。The Big Blue(1988)は海の美しさとイルカに魅せられた若者のミステリーな結末、またFall(2006)の少女のあどけなさも決して忘れられない。

49武來庵:2011/08/22(月) 02:11:27
>>47
訂正  「U工事」→「U字工事」…栃木県出身の漫才コンビ。

51武來庵:2012/04/20(金) 19:08:39 ID:DjxLuFkg0
若い頃に文庫で読んだ本のタイトルがいくつも並んでいるので転載します。
****
日経X連載、山田花子「自殺直前日記」の取材後記
_朝倉泉の遺書について触れられている。

取材後記

 「二十歳のエチュード」「二十歳の原点」「青春の墓標」「詩と反逆と死」「人知れず微笑まん」「ぼくは12歳」、祖母を殺した早大高等学院生の手記 (「子供たちの復讐」単行本版に収録)。
_ 若い筆者の死によって初めて公開される日記や詩には、生きていれば永遠に他者の眼にふれなかったであろう言葉が詰まっており、麻薬のような魅力があります。
_ 気負い、自己嫌悪、純粋な夢、社会の矛盾や自分の無力感へのいら立ち。時に矛盾する様々の要素が混在するこれらの書を、中学生だったひところ、熱心に読みました。彼らを一種の「いけにえ」とすることで生き延びた。そんな気がします。
_ 今回取り上げた山田花子の「自殺直前日記」も、上記の本たちと同様、多くの若者の支持を受けることでしょう。・・・・

http://www.nikkei.co.jp/nikkei-x/contents67/life.html

52むき:2012/09/24(月) 18:11:19 ID:1zomIbaM0
自分が書いたレスを削除して頂きたいのですが、どこに言っていいのかわからず、
ここにきました。

是非削除して頂きたいのですが。。

53武來庵=管理人:2012/09/25(火) 15:13:05 ID:Ib/ThYHE0
>>むき

削除したいレスはどれですか?
匿名なんだから特定される心配は皆無だと思うけどね。

54武來庵:2012/11/07(水) 20:35:40 ID:2SN6Hf7I0
2012年11月6日米国大統領選の結果、ロムニーが落選。ロムニー政権を夢みていただけに、大いに失望している。自分の知っている世界が目の前で崩れるようだ。持っている価値観が、常識が通用しない世界、摩訶不思議な世界に突然放り込まれ、どう泳いだらいいか分からず溺死寸前である。まるで明日がないように。オバマの当選、ロムニーの敗選は良きアメリカの終焉を知らせている。もはや古き良きロナルド・リーガン時代は遠い過去となってしまった。

なぜロムニーを応援したか。簡単な理由。その人格や能力がオバマよりも、数倍かけ離れて優れていること。優れたビジネスマン、リーダーのかがみが経歴から読み取れる。その一方でオバマはどうか。人格や能力がアメリカ大統領、世界のリーダーとしてまったく適していない。昔の職歴ばかりか、この4年間の大統領としての仕事ぶりをとってもわかる。主要メデアを掌握し、映画・テレビ界の寵児として、様々な無能力ぶりもメデア統制でスキャンダルにならない。パスポート・学生成績表・その他、個人情報を意図的に公開しないのもおかしい。外の圧力を受けてホワイトハウスの公式ウェブサイトに掲載した出生証明書も偽造されたものであることが証明されている。いまだ、その出生や履歴がまったく闇に包まれている。それ故に大統領の資格を巡って各州で裁判が起こされている。

上を踏まえ、この2人の候補者のなかで、アメリカの将来にはどちらが必要か。ロムニーに投票したアメリカ国民は半端ではなかった。ところが組織力とメデアの手助けでオバマが最終的に勝利。そもそもオバマになぜ投票するのか。大きな人間不信に陥る。将来の不透明さが重なり、息ができないほど胸がくるしい思いをしている。

55きりこ:2012/11/14(水) 18:00:46 ID:a.ILIXXw0
体が疲れているのに眠れず、全身が痛い。久しぶりにやってきた。もうここには来ないと
決めたのにまた来てしまった。まだ吐け口が必要だと痛感してる。気分に波があってどん底
の時はまったく動けず。アメリカの日本人スレが見つけられなかったので、ここで
書きました。全てが辛い、この言葉しか頭に浮かばない。

59武來庵:2013/01/28(月) 08:14:05 ID:mzSYwcd60
この掲示板がどうなるか、管理人にも先のことが読めない。

ゴーストライター、あるいは共著という形で本の出版のパートナーを探している。出版は自費やネットやあるいは出版会社に売り込みするとか考えられる。

ハリウッド映画DVDコレクションを買ってくれる人も募集。

自分が書いて見たい本。それが売れるか売れないかは本の内容如何だろう。

短編小説として書き上げたいストーリーが2つある。

ひとつはフランスから、アメリカに留学してきた若い美しい中国系留学生と大学のコンピューター室にいて、アシスタントをしていた僕との出会い。そして別れにいたるまでの数ヶ月のはかない失恋の話。

ふたつ目はレストランを所有する独身日本女性とその女性のアメリカ生まれの息子の美しい奥さんと僕をめぐる複雑な三角関係とその悲劇的結末。

ここでは、これ以上詳細は言えないけど、どれも事実起こったことが土台。セールスポイントはアメリカを舞台にしていること、また実際の話は、日本にいて空想したフィクションより説得力があること。イロイロな生きた人間関係。ドラマの関係者ばかりか、日本人留学生たち、日本街ではたらく日本人たちなどを描き出す。日本のテレビドラマ化や映画化も視点にいれて、事実にインスパイヤーしたフィクションでもいい。

いま生活のことに追われて手がつかない。腰をすえて書くことがまったくできない状態。

また最近作った僕の仕事募集サイト。
http://translation.bemysavior.com/

一応僕なりに生きる努力はしてみる。

具体的には外に出てお金稼ぎ。
でも仕事探しで成功したためしがない。

だから、ずっとネットでの株取引。
数ヶ月前に持ち金を2倍にしたときには、
運が向いてきたなと、よろこんだのも束の間、
今日まで、同じチャンスがない。焦っている。
株資金から生活費にあてて、やりくりして今にいたる。

オバマ大統領の再選は株式市場にとって悪いニュース。
投資家は株式に投資するのを控えているために、
期待していた年明けのラリーが、保有株に全く見られない。
株の値動きが鈍化。なかなか儲けられない状態。

もう株を取引する余裕の金が尽きている。

もはや、コンピューターの前に座って、ジッとしていられない。

アパート代、食料品、電気、ガス等の光熱費、電話、DSL等、およそ千ドル
あと2・3ヶ月が目安。

車を売れば少なくとも3千ドルぐらいにはなるけど、
13年間のっている愛車で、とても手放すのがつらい。
ロスでは車がなくなると食料品の買出しとか、仕事捜しとか、極端に生活してゆくのが難しくなる。
どうしようか頭を迷っている。

車を売ったからって、その後の状況が改善されるわけではない。ただ数ヶ月生延びるだけなら、
思い出のある愛車と一緒に逝きたい。
まだ決断ができていない。

そうならないためにも
奇跡が起こることを祈るのみ。

60武來庵:2013/02/03(日) 05:52:58 ID:v/LWoOq60
小さな奇跡が生まれた。
ここ数日前から、インド人社長の小さな会社で
仕事のための勉強をはじめている。
日本語を話せるのは僕とこの社長の2人。

高級外車の新車を扱った小さな並行輸出会社で契約社員。
中国、韓国はまあまあだが、
日本市場への成績がいまいち伸びていないため、
僕に助っ人としてお呼びがかかった。
お客様は日本にいる単独あるいはディーラーもやっている輸入業者。
給料は契約数の出来高で決まる。

今まで興味がなかった高級外車と輸出業だから、
一から学ぶことがたくさんある。

また、新政権になり、政府の円安政策で、
輸入品が割高になり、
日本のお客様の懐が、痛む点が大きな悩み。

でも面白いことに、社長は自民党のある党首たちと、
面識があるらしい。との程度の深さかは知らないが、
小泉元首相と握手している写真がある。

僕にとっては能力次第で、給料の高低が決まる。
成績が出なかったら、給料はゼロ、しかも首が飛ぶ。笑
でも逆に、自分の能力を試す絶好のチャンス。

売り上げを出すまでには少なくとも数ヶ月が必要。
事情を話したら、生活できるだけのお金を前払いしてくれるとのこと。
そのため仕事に集中できる。

とにかく、一人前になれば、自宅でやれて、
通う必要がないことや8時間拘束されることがないから、
自分のたくさんある趣味を捨てることなく、継続できることや、

お金を貯めて、その資金で大きな株売買ができる。
それによって、大きな儲けも期待できるというもの。

一度枯れる寸前までしぼんでいた望みが、
ふたたび開きはじめている。

悔いなき人生。
僕の人生ドラマがまた動き出す。
結末が簡単に予想できる日本の連続ドラマよりもっと面白い。

次回に続く・・・・

61武來庵:2013/02/25(月) 09:44:18 ID:Nfks6DGk0
今日はオスカーの日。開演の数時間前から、着飾った女優俳優がレッドカーペットに沿って会場入りする模様をインタビューを交えて、地方テレビ局で中継されている。ちょっと前に、ダスティン・ホフマンとサリー・フィールドがインタビューされていた。それを見ているのだが、実は今日の数日前から関係者がプライベートなオスカーパーティーを開いていることがニュースになる。つまり、アカデミー賞授賞式はパーティーで始まって、翌日の朝まで続くパーティーで終ると言っていい。誰が授賞するというよりも、アメリカが世界に誇るスターたちが年に一度、ロスに一堂に会し催される一大パーティー/映画の祭典というのが正しい描き方である。

62武來庵:2013/04/11(木) 16:12:33 ID:oK1mpDKI0
円安ドル高の影響で
日本への輸出を目指すうちの会社は商売にならないようです。
よってもうすぐ私は仕事を失います。

そう今日言われました。

将来再雇用するかは、今後の3ヶ月後の状況次第だそうです。
3ヶ月なんて待てるわけがありません。

死刑宣告と同じですね。
まあそれまで、悲しんでいてもしょうがないから、
仕事探しをしますが、
今度は来るときが来たのかなと強く思います。
それまでは一日を無駄なく楽しく行こうと思います。

64武來庵:2013/05/10(金) 07:57:06 ID:oK1mpDKI0
ロスのストリートで小銭を稼ぎはじめた。アパート代ぐらいは稼げそう。頑張ればもっといける。いろんな人間に会う。ドラッグユーザーでカジノで働くアルメニア出身、黒人やヒスパニック系が占める刑務所帰りの老若たち、将来大物になることを夢見る起業家のナイジェリア出身、それにストリートで生きる知恵を教えてくれる優しいヒスパニック系。その頭が切れるストリートのプロに大分助けられている。日本にいたら決して味わえない国境を越えた人間ドラマが会話を交わすなかで見え隠れする。大卒なんてわずかだろう。それでも皆したたかに生きている。コレだからアメリカ体験は止められない。


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