したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【ま】まーくん小説スレ【ま】

94 ◆xE0miVYJNk:2006/12/22(金) 01:09:47 ID:Lxsnr9vg
アストラル。
 
現代に於て、様々な創作物に現れる名である。
だが、普遍化しすぎた言葉であるが故に、使われている意味が
本来のそれから外れたものとなっている事も多い。
勿論、魔術体型や理論により細分化され、定義が食い違うこともよくあるのだが。
 
 
 
近代魔術に於て、人間とは体躯、魂魄、霊体の三態の集合体として考えられている。
 
集合体とは言ったが、その三態は互いに重なり合っていながらも、
油と水のように、決して混じり合うことはない。
 
そして、この三態のうちの魂魄にあたるのが、アストラル体と言うものである。
 
アストラル界とは、このアストラル体を構成する、より綿密な物質により構成された世界である。
(飽くまで魂魄と同質の物質でできた世界と言うだけであり、魂魄そのものが構成しているわけではない)
 
この世界は、通常の五感では捕捉することは不可能だが、
偶発的事態ないし意図的な投射によりアストラルプロジェクション(俗に言う幽体離脱)を行うことで、
僅かだが干渉を行うことも可能となる。
 
無論、そのような体験の殆どは自己催眠によるものだが、
その“自分は死んだ”と言う無意識下に於ける自己催眠が霊視能力を授けることもある。
これは、プラシーボ効果と同じように、思い込みによって
“死後の世界”がその人のイデアに認識されてしまうからだ。
 
無論、死後の世界などと言うものが存在する筈はない。
意識とは脳の働きに組み込まれた一要素にすぎないのだから、
脳が活動を停止した時には跡形もなく消え去ってしまうだろう。
 
ただし、アストラル界はその魂と“同質”のものなのだ。
イデアにインプットされた完璧な図形は、多少歪んだものであっても、それを同一の図形として認識させる。
この場合もその例に漏れず、思い込みの中の“死後の世界”に代わって、
それに酷似しており、かつ確かに存在しているアストラル界を視せてしまうのである。
 
 
だが、そうなれば、その人の半分はもはや現世以外に属していることになる。
さらに、アストラル界での多くの事象を観測し続ける事で、より“あちら側”に傾いてゆくだろう。
 
ではその時、その人は本当に生きていると言えるのだろうか?
 
回復する事のない意識の消失を死とするならば、それではない。
だが、多くの人は現世にいない者を生きていると認識していない。
 
生ではない。かと言って、死でもない。
それは限り無く永遠の生に近いが、隔絶されたそれは一瞬の死に等しい。
 
 
 
 
彼女は言う。
 
形骸に拘るのは愚者の為す事だが、
形骸を無視するもまた愚の骨頂。
何故、両二極でしか思考できない。
中途半端な途はそんなに好ましくないのか――と。
 
 
その言霊の 向かう先は 言語化できない どこか、遠く――――


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板