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羽娘がいるからちょっと来て見たら?
563
:
二郎剤
◆h4drqLskp.
:2007/02/17(土) 20:00:51 ID:OVKeGQEU
細く長い部屋がある。その部屋は縦長に仕切られており、片端には人のシルエットを示したプレートがあった。時折軽妙な、あるときは重厚な、空気の破裂音が響いていた。
射撃訓練場、シューティングレンジである。
軽妙な音を発するのはユニーで、重厚な音を発していたのはショーティだった。
「後少し、か……」
「後少しって……」
唖然とするユニーの見つめる先、人を模したプレートの心臓部には穴一つ。
「それで少しなんですか?」
複数の円を重ねた穴を見つめ、続いてショーティの得物を見つめた。それぞれ十発の弾丸を放った、大砲じみた大きさの銃器を両手に、都合二十発の弾頭は過たずその穴を通過している。
「ミュトイは市街地が多いから、最悪人質も取られるでしょう? 流れ弾も怖いし」
冷静な言葉を紡ぎつつ、ショーティは愛用の眼鏡を外す。短い金髪がかすかに揺れ、それ以外の緊張を全くといって良いほど示さない、涼しい表情がユニーを見た。
「そうですけど、これで十分なような……」
「これに頼ってると足下すくわれるしね」
取り外した眼鏡を見つめる。昼間であるからそれ度は無く、スイッチの入ったレンズにの中央には赤く光点が示されている。
「私も作ろうかなぁ」
「今から無い状況に慣れておきなさい。私より上達するから」
うーん、と声を上げユニーはうなった。
射撃の腕にも、冷静さにも、そしてそれ以上を考え、
「あはは……」
苦笑するしかなかった。
「少佐、次はこれ」
二人の横、歩み寄るは真理。彼女は二十発分の銃弾――サイズとしては小型の弾頭と言ってもおかしくはない――を入れた小箱をショーティに渡す。
「了解」
言うなりショーティは手早く装弾、そして眼鏡を着け、サイティングを開始。
「少尉は訓練しないの?」
ショーティの手早い作業に感嘆しつつ、ユニーは真理に問うた。
「ん、狙撃苦手だから」
言い訳のような、分担を主張するような意見にユニーは何も言えず、己も渡された銃弾を込める。再び軽音と重低音が交差し、二人の射撃が行われた。
「私はこっちの方がいいかな」
「ほんとだ……結構変わりますね」
先ほどよりぶれが少なかった。調整の妙を実感し、思わず二人がつぶやく。つぶやきにうなずく真理が近くにおり。
「頑張ってるから。あの子」
「私も負けてられないなぁ」
ユニーの独り言は、ここにはおらぬ後輩への賛辞として真理が受け取り。
「成長した、ラプンツェル」
過去を思い出して微笑む。いずれ仕込みにも巻き込もうなどと不吉なことを考えてはいたが、それは胸の内にしまっている。
気に入った調合をしたラプンツェルを思い、二人は彼女の仕事ぶりを味方に、ターゲットを打ち抜く。
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