したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

チラシの裏 4枚目

377im@s fantasy9 第三章 第六十四話 3/3:2011/06/15(水) 02:02:51 ID:sIHu5i9Q0
「………。」
真っ赤に染まるリンドブルムの夕焼け空を、雪歩は一人見ていた。
…いや、見れていなかった。


思い浮かぶのは自分はどうすればいいのか、
どうすればよかったのか…………それだけだった。

沢山の人が犠牲になった。
ブルメシアの人々、リンドブルムの人々、自分が戦ってきた数々のモンスター…
アレクサンドリアの人々………そして。

真紅に染まるあの光景。
「………!」
姉、春香が目の前で…ずっとずっと一緒に暮らしてきた姉が
目の前でばらばらの、ぐちゃぐちゃの物に刻まれる瞬間。
沢山の血が流れ、今の今まで心を持ち、愛していた家族がただの…物体に帰させられる瞬間。
彼女はもう、解らなくなっていた。


何をどうすればよかったのか。
自分の行動は正しかったのか。
…生きたいように生きることは自分にはできないのではないだろうかと。

「……………。」
美希が自分を呼び止めたのも聞こえなかった。

「ドリル、大丈夫?」
「……。」


様々な声をかけてくれているのが解る。
外は気持ちいいね、だとか
一緒にお昼寝でもしようか、だとか
狩猟祭の時の約束がまだだったから、これからデートにでも行こうか、とか。

…そんなときでないのを知っていながら。

そして…
彼女の肩をつかみ、揺さぶる彼女の姿も。
「…ドリル………!?
 どうしたの、ドリル!?
 …ドリル! …ドリル…!!」
「…!!」

そしてその時になって彼女自身も気づいた。
その、異変に。




翌日、雪歩の身を案じてリンドブルムに訪れていた小鳥から、
彼女の診断が下った。




「雪歩ちゃんは……雪歩様は………
 『失声症』にかかっておられます」


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板