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チラシの裏 4枚目

151im@s fantasy9 第四十二話 2/3:2010/05/19(水) 01:12:51 ID:dUuyYYeA0
「…いつか、帰るところ… …て、故郷のこと?」

「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないね。
 …けど、必要なんだよ、みんなそういう場所が。」



「…」



美希は目を閉じ始めた。
「むかーしむかーし…」
「もうー、美希ちゃんたら…」


「昔あるところに…
 自分の生まれた場所がどこなのか解らない毛虫がいました」
「…美希ちゃん?」




「その毛虫は、自分がどこで生まれたのか、本当の親がどこにいるのか
 知りたがっていたんだよ。ずっと…ずっと。」


「そこで毛虫は、誰にも…育ての親にも何も言わずある日旅に出てしまいました。
 自分の故郷を探すために。」



「………何か、宛てなんかはあったの?」
「ううん、ほとんど何もないよ …青い光、ただそれだけ。
 その青い光が海だと思って、港に出てみたけど何もなくて…
 それでも、故郷を探してずっとずっと探し続けたんだよ」



「それでその…」
「…結局、何も見つからなかったんだ。
 だって、その手がかりは青い光っていうただそれだけだよ?
 毛虫は、仕方なく家に帰ったんだ」


「すると、家では育ての親が眼鏡を光らせて、じっと毛虫を待っていました
 それはもう、おさげなんか反り返ってました。

 さてここで問題。育ての親はこの後…どうしたと思う?」



「…優しく、抱きしめてくれた?」
「まっさかぁー…。」



「渾身のチョップに始まり、ほっぺたをぐいぐい引っ張られるわ、
 頭をぐりぐりされるわで大変だったんだよ…」


「えぇっ………そう、なんだ…」
「けどね。」



「その後、その育ての親は、ニカッと笑ったんだ。
 …思い切りそんな風にした後にだよ?」
「…」


こうして、美希は昔話を終える。
「…変かもしれないけどね。
 その時に、毛虫は何となぁく思ったんだよ、
 …ここが、ミ…自分のいつか帰るところなんだ、って。」


「……そっか…」

「…今ビビにも同じことが起ころうとしてるのかもしれない。
 だから…ビビが明日何を言おうと、受け入れてあげようよ」



「…うんっ」
こうして美希はおもむろにドリルの手を繋ぐ…

「……ちょっ、美希ちゃん!!」
のに失敗し、丸まった体勢で背を向けて眠るのだった。


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