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持ち帰ったキャラで雑談 その二

565名無しさん:2010/09/19(日) 22:45:10 ID:h70EqLmo0
 ふっと眩暈を覚えて早苗は眉をしかめた。
 軽くこめかみを抑えて頭を左右に振る。
 と。
「……………………」
 彼女をじっと見つめる少女の姿があった。
 年の頃は5歳ほど。腰のあたりまで伸びた長い黒髪を無造作に垂らしている。その大きな瞳はまばたきすることなく早苗を見据えていて、何故だろう、まったく表情を浮かべていないのに今にも泣きそうに見えた。
 その光景に、早苗は違和感を覚える。
 連続しているはずの時間が、ある時を境に断絶してしまったような。
 あたかも旧式のフィルムのある部分と部分を切って繋ぎ合せたような、そんな不連続感。
 ――だが、
「……あす、み?」
 早苗は、無意識に少女の名をつぶやいていた。
 そこでようやく彼女は気づいた。
 ――これは、夢なのだと。
「……………………」
 じっと早苗を見つめる少女の瞳。その無言の瞳に見つめられ、早苗は動くことが出来ない。
 何が出来るのか。
 あるいは、何がしたいのか。
 だが、その均衡はふいに崩れた。
「……だっこー」
 手を伸ばす。早苗の方へと。
 一瞬、その言葉の意味が理解できずに唖然とする。
 それを少女は拒絶と受け取ったようで、
「…………だっこ」
 同じ言葉を繰り返しながらも腕は下がり、肩を落としている。
 早苗は、ほとんど反射的に動いていた。
「大丈夫ですよ」
 抱きしめる。
「私が、あなたの傍にいますから」
 少女の顔は見えない。
 だが、目をまんまるくしている姿は容易に想像がつく。
 早苗の胸の中でもぞもぞと動いた少女は、
「……………………ん」
 小さく、そう鳴いた。

 それは新たな夢が始まる瞬間。


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