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持ち帰ったキャラで雑談 その二

530夏空の下:2009/08/03(月) 21:30:40 ID:ZlCGHFbEO
故郷とは何を基準にそう呼ぶのだろう。
花を備えられた墓を見つめながら、アサヒはぼぅとそんな事を考えていた。

ほとんど訪れる者も居ないのか、苔の生えたそれを母達が綺麗にしたのがすこし前、
こうして、墓を見つめたのが今さっき。

アサヒはあまり線香の匂いが好きではなかったが、この匂いがする度に母は何処か遠くを見つめて、言うのだった。
―ああ懐かしい香りがする。

ジジ、と蝉の鳴く声に顔を上げると心配そうな母の顔が目に入る。

―あんまり無理しないで、向こうで休んでおいで。

母の言葉にアサヒは黙って頷き、おぼつかない足取りでその場を後にした。

蝉の大合唱を何処か遠くに聞きながら、うだるような暑さに煮える墓を振り返った。

揺らめく陽炎の向こうに居る母達が幻の様に消えてしまいそうな気がして、アサヒは慌てて駆け戻っていった。


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