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持ち帰ったキャラで雑談 その二

528盈月明夜:2009/07/27(月) 21:56:29 ID:ZqlKNNqM0
 音すら消し飛ぶ大爆発。
 その爆心地にあって、妹紅は涼風でも浴びるかのように佇む。猛然とたなびく
髪の束が天を突くように怒髪しているが、表情は相変わらず暗欝なままだ。
 喜怒哀楽を殺しているわけではなく、単に気分が晴れないだけだった。
 それを「仕事」と呼ぶのだろうと妹紅は思う。
 仕事――己の意思が望まぬことを、しかし己の利益のために成す。
 無論、これが初めての労働ではない。
 生きるために必要なものが余りにも少ない身であるとは言え、それでも対価を得るために
労働力を行使したことくらいは経験があった。
 だが、今している「仕事」は明らかにそれとは異なる。
 対価として得られるものは、今の彼女にはゴミ同然の代物だ。
「まったく……被害ばかり増やす」
 つぶやく。込められた感情は忌避の念。
 周囲になるべく被害を与えない場所を選んだつもりだった。建物としては巨大だが、
損壊が激しくホームレスでさえ住めそうにない廃墟の頭上。またその傍らには
楕円形の白いラインが引かれた空白地帯が広がり、戦場にはうってつけだった。
これまでの経験上、場所を選ばないと被害の規模を推し量ることすら出来なくなる。
一度、人の通りが疎らにある商店街の遥か上方で相対した時は、あの翼人――否、
人面烏の恒星落とし(メテオスマッシュ)で街が蒸発しかけた。文字通り死力で止めたが。
 しかし、人がいなければ何をしてもいいと言うものでもないだろう。
 空白地帯には隕石でも落下したようなクレーターがいくつも出来上がっている
――いや、「ような」も何も文字通りのことが起きているのだが。
 埋められた対人地雷を根こそぎ爆破させても、ここまでにはなるまい。
 今でこそ誰も住んでいない廃墟だが、使われていた当時というものが必ずあったはずで、
それを考えると無価値にして無遠慮な破壊の爪跡に、言い知れぬ不快がこみ上げてくる。
 これで終わりに出来ればと、何度思ったことか。
 そして、それは未だに叶ってはいない。人面烏の言う通り、これで何度目の対峙になるか
数えるのも億劫になるほど相見えてきた。
 そう――その異質極まる炎でさえも見飽きてしまうほどに。


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