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持ち帰ったキャラで雑談 その二

525盈月明夜:2009/07/12(日) 22:12:19 ID:OVB69jK60
 轟、と。
 無を焼き尽くす炎が、夜の帳を引き裂いた。
「もう、邪魔しないで、よ!」
 少女が素早くスペルカードを構える。

 ――核熱「ニュークリアフュージョン」

 炎と炎がぶつかり、互いを食い合うようにして渦を描き、そして消滅する。
 急激な気流の変化に風が吹き荒れる。すでにあたりは台風に近しい暴風域となっていた。
 その風に髪をなびかせる者は、二人。
 ――いや、果たしてそれらを二人と表現するのは正しいのか。 
 紅蓮と漆黒。それぞれの翼をはためかせ、中空にて対峙。
 その時点で、およそ常人とはかけ離れた世界に存在していることがわかるだろう。
 漆黒の翼を宿した少女が、その背の力をばさりと一度大きく打つ。
 本来の翼あるモノならば、吹き荒れるその風に弄ばれ地上に叩きつけられるものだが、
少女の翼は風などものともせずにゆったりと上下している。
 それは降臨する天使を思わせる雄大な動きではあったが、
「しょ〜めつ〜、あははははッ!」
 右手の制御棒を振り回して笑う姿に、およそ威厳と評する部分は見当たらない。
「まったく、いっつも私の邪魔する貴方は何者?」 
 自由な左手でかきあげる、膝まで伸びた長い黒髪。
 その、夜に吸い込まれそうな深い色は、しかし上品さを醸し出す濡羽色というよりも、
百獣の王の鬣のような粗野と荒々しさを生み出している。
「八咫の神様の力を借りた私と同じ炎を作れるなんて、ね」
 その表情も人間のそれと酷似しているものの、やはりどこか異なる。
 あえてその差異を挙げるとすれば、「目」だろう。
 少女の相貌をしたその目は、しかし少女のものではありえなかった。
 獰猛。
 それ以外に言語化の出来ない輝きは、食いつき、食い破り、食い荒らさんばかりの
プレッシャーを漲らせている。
 それこそ、無限の焔で世界を焼き焦がす、あの中天の光のように。
「――さてね」
 応えるのは、対照的な白い輝き。
 銀色の髪を夜闇にたなびかせるその顔には、あたかも感情を目の前の少女に奪われた
かのように暗欝な無表情が浮かんでいる。
 しかし、その背に生えた紅蓮の翼は揺るがない。
 留まることなく、抑まることなく、絶えることのない不尽の炎は、彼女の内面の力強さを
象徴するかのごとく光熱を発していた。
「季節の巡りに背く熱を」
 そっけなくつぶやくその手には、すでにもう一枚のスペルカード。

 ――貴人「サンジェルマンの忠告」
 ――爆符「メガフレア」


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