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持ち帰ったキャラで雑談 その二

512※名前欄が空白です。匿名で投稿されます:2009/05/10(日) 22:12:54

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------

 灰が降り積もる。
 雪とは異なり結晶構造を成さないそれに吸音効果があるとは到底思えないのだが、
あたりは不気味なほど静まり返っていた。
 かすかな光に照らされたその場所は、よく見れば思いの外広かった。
 ただのコンクリートだと思っていた床は実は一部に過ぎず、その大部分は学校の
廊下のようなリノリウム張りとなっていた。建設途中に破棄されたというよりは、
破棄された後に風化ないし破壊されたのだろう。先程十六夜の風によって吹き飛ばされた
家具らしきものはよく見れば長机で、どうやらここは予備校だったらしい。
放棄されてかなりの年月が経っているのか、あちこち壁の塗装が剥がれた様はさながら
腐乱死体のようで、廃墟特有の押し潰されそうな空気が忸々と立ち込めている。
 常人なら間違っても留まりたいとは思わないその場所を塒(ねぐら)としていた
とある「普通」の強盗犯達は、十六夜の強襲から意識を回復させた直後に一目散で
遁走している。追いかけなかったのは、彼らが戦利品を置いていくのを確認していたからだ。
 故に、ここに残っているのは二人だけ。

 夜の中に混じる朱。
 その光を吸収し、黒灰がちらちらと彼らのもとに降り注ぐ。
「――いい夜だったわね」
 告げる十六夜の相貌には、笑みがあった。
 凍結したような瞳は敵を見据えてまばたきもせず、口元だけが異様に吊り上がった
その表情を、笑みと評していいのかはわからないが。

 ビルの建物の一室。
 そこに『降り積もる』雪。

 10階より上層が跡形もなく消し飛ばされたビルで、彼らは最後の対峙を迎えた。

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------


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