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持ち帰ったキャラで雑談 その二

508※名前欄が空白です。匿名で投稿されます:2009/05/05(火) 23:19:50

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------

 語り合うまでもなく、結論など最初からわかりきっていた。
 究極的な「正義」などない。
 そんなものはどこにもありはしない。
 魔王にとっての正義が人間にとっての悪でしかないように。
 主張を異にする限り、正義の裏側に必ず悪が存在する。
 それはどちらが正しくて、どちらが間違っているなどということはない。
 そんなものは立ち位置の違いを示しているにすぎないのだから。

 それに気づいた時、十六夜は聖職者としての地位を捨てた。
 正義を信じられない者が、神を信じることなど出来るはずもなかった。

『僕、は……』
 拠り所を失った世界の救世主は、くず折れるように己の剣に体重を預ける。
 その姿に、懐かしさと、わずかの苛立ちを覚えながら、
『認めなさい。あんたは「正義」であると同時に「悪」だ。私と何も変わらない。
 守るべきものが私とあんたでは異なるという、ただそれだけの違いに過ぎないのよ』
『……信じたいんだな』
 ぴくりと、十六夜の眉が上がる。
『そう信じないと、そしてそう僕に信じさせないと、お前は僕を斃せないんだな』
 十六夜は無言。そこには先程までの憤りも消え失せたいつもの無表情だけがある。
『ようやくわかったよ。何故、お前がこんな禅問答を語り出したのか。
 さっきのお前の言を借りるなら、今の僕はかつてのお前そのものなんだろう。
 正義を信じることを諦めたお前は、正義を信じる僕には勝てない。
 だから語りを入れたんだろう? 僕を、お前と同じところへ堕とすために』
 かしん
『そうだ、理屈なんかじゃない。僕には守りたい、守るべき人達がいる。
 その人達を守り通すことが誰かにとって「悪」となるなら、それでもいいさ。
 僕は、僕を信じてくれるみんなにとっての「正義の味方」で在り続けよう』
 そうして、「勇者」は目を眇めた。
 心の底から憐れみを込めたまなざしで、

『――お前は、信じられる人を失った僕なんだな』

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------


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