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持ち帰ったキャラで雑談 その二

489※名前欄が空白です。匿名で投稿されます:2009/04/05(日) 10:50:14

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------

 それを戦いと呼べるほど上等なものだと十六夜は思うことが出来なかった。
 故に、やはりこれはただの喧嘩だろうと思う。
 鞘に納められたまま振り下ろされた『勇者』の一撃を檜の棒で弾く。
 向こうも予想していたらしく、あらぬ方向に走る剣閃の向きを素早く変え、
返す一撃で十六夜の左脇を狙ってくる。慣性を無視した強引な燕返しだったが
それなりの速度があり、十六夜は一歩身を引いてそれをかわす。
 そこに『勇者』の放ったギラが飛んできた。
 不意をついて追撃する形となったその一撃。予想の範疇外にあったそれを、
十六夜は舌打ちと共に棒を持たない左手で叩き落とす。
 おぞましい虫の這いずりのように伝う火傷の痛みの暴走をかろうじて理性で圧し殺し、
『勇者』の畳みかけを防ぐ目的でバギマを放つ。
 あわよくば傷の一つでもと思ったが、イオラの爆発にかき消されダメージには至らない。
 再び間合いを開きあった二人は、回復呪文でそれまでの傷を癒す。

『久々ね――いや、このスタイルをとってからは初めてか』
 独白のつもりだったが、その言葉に『勇者』がいぶかしむ顔をした。
 答える義理などなかったが、何とはなしに言葉が口をついた。
『私がこの戦い方を覚えたのはこっちに来てからなの』
 僧侶は一人では戦えない。
 それは数年前までの十六夜にとっての常識であり、今の十六夜にとっての汚点だった。
 一人で戦うことを強要される状況になって初めて気づいたのだ。
 それまでの常識など、蜂蜜のように甘ったるく粘質の海に浸かっていた己の抱く願望に過ぎなかったのだと。
『ここは私達みたいな「魔法使い」は少数派だから。
 ――魔法を使われるのがこんなに厄介だとは思わなかった』
『……お前の悪行なんて知ったことじゃない』
 硬質化したままの『勇者』の言葉に。
 十六夜はかすかに眉根を上げた。興味深そうに――あるいは、腹立たしげに。
『悪行。悪行――ね。面白い、少し興味がわいてきた。
 夜明けまでにはまだ時間がある、ちょっとお姉さんと話をしようか――「勇者様」?』

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------


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