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持ち帰ったキャラで雑談 その二

488※名前欄が空白です。匿名で投稿されます:2009/04/04(土) 23:34:01

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------

 初撃は、『勇者』の方が速かった。
 見舞った瞬間に完了するのは、光の速さで疾駆する呪文特有の利点だろう。
 その必殺性故に、勇者以外は扱うことすら許されない禁忌の力。
『勇者』を中心にして全方位に放射される稲光をかわす手段などはなく。
 十六夜は考えられうるあらゆる最悪の事態をすべて臓腑に飲み込み踏み込んだ。
 世界が鮮烈な白で包まれる。
 痛い、という感覚はない。
 痛覚さえ麻痺させるショックが全身を駆け巡った。
『…………なっ!?』
 それにも関わらず、驚愕の表情を浮かべたのは『勇者』の方だった。
 床に倒れこむ。長時間正座した後のように足が痺れ立ち上がることが出来ない。
 先程の風で黒灰は吹き散らされたため汚れることはなかったことに安堵する――
今置かれた状況そのものよりも、そちらの方が遥かに重要だとでも言うように。
『……ひさびしゃに効いたわ』
 全身が小刻みに痙攣するため、呂律さえも満足に回らない。
 全力で舌打ちして、小さく呪文を唱える――ホイミ。
『つくづく厄介ね、「魔法」ってのは』
 立ち上がる。激しい嘔吐感は残っていたが、活動に支障はきたさない。
 むしろそれを心配すべきは『勇者』の方だろう。
『こんなのを1対1の戦いに持ち込む私達は、人の道から外れた卑怯者だとは思わない?』
『これは……一体……』
 わずかに混濁していたらしい意識が戻り、苦瓜でも噛み砕いたような渋面を浮かべる。

『勇者』の雷撃は光の速さで十六夜を貫いた。
 同じ時間に、十六夜の掌底は『勇者』の顎を撃ち抜いた。
 意識が混濁したのは軽い脳震盪を起こしたせいだろう。

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------


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