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持ち帰ったキャラで雑談 その二

481※名前欄が空白です。匿名で投稿されます:2009/03/11(水) 22:20:28

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------

 実のところ、逃げるという選択肢は最初からなかった。
 これは何も増長から来るものばかりではない。まあ増長も含まれてはいるのだが。
 ここで逃げ出したところで、同じことが繰り返されるだけだ。
『――勇者』
 つぶやく。無自覚に揶揄の響きがこもるのは、それだけその単語の持つ意味に
辟易していることの表れだった。勇者。
『どうして来たの?』
 その問いが無意味であることは、誰よりも彼女が理解していた。
 来る。その言葉に前提として含まれている「己の意思」を、さて一体どのようにすれば持ちうることができたのか。
『……お世話になった人から聞いた』
 だが、答えは予想外に返ってきた。
『いや、正確には伝わったのだけれど。言葉が通じないから』
 もっとも、十六夜が本来尋ねた意味とはまったく異なる形で、ではあったが。
『――この街には人の財産を根こそぎ「略奪」していく悪魔がいる、と』
 悪魔。
 くだらない表現だと十六夜は思う。
 そんな、今時聖書(おとぎばなし)にしか出てこないような単語を使うのは、
それこそお子様に御伽噺(ゆめものがたり)を語って聞かせる時くらいだろう。
 つまりは、それだけ現実味を帯びていない。否、帯びさせない。
 この街の――この世界の住人は、誰もがそうだった。
 誰一人として、現実を見ている者はいない。

 ――まるで、ここには現実など存在しないのだとでも言うように。

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------


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