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持ち帰ったキャラで雑談 その二

464※名前欄が空白です。匿名で投稿されます:2009/02/11(水) 09:02:59

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------

 無人と思われた廃墟から、男が飛び出してきた。
 この時勢に路頭に迷ったホームレスのようだ。灰で真っ黒になった衣服を見ればわかる。
 その両手には、やはり灰で煤けてはいるものの食料を山ほど抱えている。
 いわゆる火事場泥棒の類型か。
 向こうもすぐに十六夜に気づいたようで、先んじてやったとばかりに
したり顔を浮かべて彼女の脇を駆け抜けていこうとした。
 ――夢にも思っていなかっただろう。
 交差する瞬間に、痛烈な速度で顔面を殴打されるとは。
「今日はいいとしても、明日からどうしようかな。あー、めんどい」
 ぎじぎじぎじ! と錆びたカッターの刃を伸ばすような音を立てて、
男がアスファルトの地面を滑っていく。
 十六夜は軽く嘆息して、男を殴り飛ばしたのとは反対の方向に歩きだした。

「はんばーぐだー」
 ここ数日見ることのなかった満面の笑顔が食卓を彩った。
 十六夜が作っている最中から大はしゃぎで、包丁を使っているから危ないと言う
十六夜の言葉も聞かずに跳ねまわり、お燐に抑え込まれてやっと落ち着くという有様だった。
「いい加減『いただきます』くらい覚えなさいよ、もう」
 食卓に並ぶなりハンバーグにフォークを突き刺すあすみ。
 十六夜はうんざりしたように溜息をついているが、ここまで喜ばれれば無論悪い気はしない。
 喜びと苛立ちと諦めが入り混じったその複雑な表情は、時に「人間凝固点」とも
揶揄される凍結した表面世界に短い春が訪れたようだった。

 十六夜がこれほどの親愛を浮かべられることを知る者は、ごくごくわずかである。

「おねーさん、私の分は?」
「ごめんなさいね、生憎キャットフードは置いてないの」
「ほしければ奪い取れ、ってことかな?」
「『略奪』はご自由に。その代わり、髭の2・3本は覚悟しときなさいよ」

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------


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