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持ち帰ったキャラで雑談 その二

444※名前欄が空白です。匿名で投稿されます:2009/01/11(日) 18:47:56

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------

「こんにちは」
 言葉を紡いでから頭を下げるまでの動きも流麗に。
 玄関の先で両手を揃えて佇む少女は、そうして簡素な挨拶を述べた。
 ――その瞬間に空気の質が変化したことに、気づいているのか否か。
 紫色の髪はこの国では稀有だが、十六夜にはどうでもいい。
彼女自身、その髪は光の遮られた海底のような深い蒼色をしている。
 外見から年齢を判断すれば、十代半ばと言ったところだろうか。
 だが、決してそんな安易な判断で計れるような存在でないことは、その怪奇な存在感から想像がついた。
 十六夜の頬を浅く伝った汗も物語っている。
「…………あんた」
 発せられた言葉は、砂漠において水を求める彷徨い人のように乾いていた。

「あんた…………『ナニ』?」

 十六夜は問う。
 外見では判断のつかないそのイキモノに。
「何、ですか。随分と哲学的な質問をするのですね」
 妹と相性がいいかもしれないわね、と小さく微笑む。
 十六夜は笑わない――笑えない。
 それ以外の筋肉を即座に動かすよう研ぎ澄まされた神経が、頬筋を動かす余裕など与えない。
「この間、すぐ近くに引っ越してきまして。今日はそのご挨拶に」
 言って、再び頭を下げる。
「古明地さとりと申します。お見知り置きを」

 そのしばらく後に、十六夜は後悔する。
 この時、この瞬間であれば、このイキモノを始末できたのではないかと。
 そしてその直後にかぶりを振って嘆息する。
 それでも、このイキモノを仕留める自分の姿は想像できないと。

// この投稿は匿名によるものです--------------------------------


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