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持ち帰ったキャラで雑談 その二

392豪雨2・上:2008/09/07(日) 23:02:20
 天地を裂く撃音。
「………………んっ」
 恐怖の根源を呼び起こす大気の震えに、生存本能が体をすくませる。
 リディアは反射的に少女を抱きかかえる力を強めた。
「……………………」
 そしてその力に対する少女の反応は、皆無だった。
 動かない。ぴくりとも。
 まぶたの動きでさえもその力に抗うことはしない。
 それは――ニンギョウのような。
 それは――ヒトガタのような。
 着やせした胸が浅く上下していなければ、服越しに伝わる温かささえ錯覚と思ったかもしれない。
「いつものことなのはわかってるんだけどなぁ」
 苦笑する。
 雷など、アスミには恐怖どころか関心の対象にさえならないのか、と。
 そもそも耳に届いているのかさえあやしい。
「ぼんやり」を追及した果てに完成した、二時間ごとに空腹を訴える神秘のビスク・ドール。
 そんな触れ込みで売り出したら、意外に好評かもしれない。
 それにしても動かない。
 こうなると梃子でもシーソーでも動かない。
 この状態になったアスミの関心をこちらに向けるとしたら、目の前でお菓子を
ちらつかせるか、あるいは――
「あ」
 と、リディアが声を上げたのは、
「さ〜て、今日のイッテ○は、っと」
 リモコン片手に現れたのは、ピンクの髪をした魔女。
 何の遠慮もなく、何の考慮もなく、何の思慮もなく、何の浅慮もなく、
 彼女はリモコンのボタンをテレビに向けていた。
「……………………!」
 少女は相変わらずの無言。
 が、その目はこれ以上ないほど大きく見開かれていた。
 テレビの画面に支配されたように停滞していた、その瞳が。
「……………………」
 投げだされた足が。だらりと垂れ下がった手が。
 あたかも壊れた人形でも象徴するように、アスミという存在を描く。

 耳をつんざく轟音が走り。
 アスミの首が――まさに糸の切れた人形のように――かくんと落ちた。


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