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持ち帰ったキャラで雑談 その二

382歌・上:2008/08/21(木) 21:50:11

 ――Forever…
 ――Tears fall, vanish into the night
 ――If I'm a sinnner…
 ――Chivalry, show me the way to go

「――本当に」
 静寂だった空間に、声という亀裂が走る。
 静寂。亀裂が走るまで歌声が響いていた空間を、しかしそう称せずにはいられない。
 鼓膜を震わせる不快を忌み、心へと直に響いてくるような。
 空気よりも自然に世界に馴染み、呼吸するだけで全身に染み渡るような。
 それは歌よりも根源的な何かを孕んだ、しかし紛れもなく歌そのものだった。
「歌声だけだと誰だかわからないわね」
 その歌声は、しかしもう届かない。
 今この時、歌を媒介にして世界の一部を確かに紡いでいた『それ』は、
大きな瞳をさらに見開いて声の主を見つめている。
「意外? 私がここにいることが」
 わずかに顔にかかった真っ青の髪を手で梳き、代理人は『それ』を見遣る。
『それ』。それはまさに『それ』であり、と同時に、
「――アスミ」
 代理人とは対照的なピンク色の髪を下げた、ただの少女だった。

 アスミは人前では歌わない。
 それは彼女の歌の腕前以上に、皆の間に知れ渡っている周知の事実だった。
 歌う場所は専ら地下室で、それも誰かが入るとピタリとやむ。
 ただ地下室には通気のためにいくつも空気穴があり、その一つが部屋に直接
繋がっているため、時折アスミの歌声を耳にすることがある。
 それを聞いた誰もが最初に思うのは、
『――これは一体誰が歌っているのか』
 つまり、それだけ歌っているアスミの声は印象が異なるわけだ。
 アスミが歌うところを見た者はいない。
 とある一件から、葬送歌を紡いでいるところを目の当たりにしたリディアと。
 今この瞬間の、代理人を除いては。


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