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持ち帰ったキャラで雑談 その二

378食人鬼の滅亡:2008/08/14(木) 12:20:29
常に一流の庭師によって手入れがなされているこの朝の空中庭園の石畳に馬の蹄の音が響き渡る。
銀河皇帝と帝国軍参謀総長の朝の日課によるものだ。彼らはこの地上数km.の楽園を一周してから、
それぞれの家族とともに朝食を摂る事を好んでいる。馬首を並べている間の主な話題は他愛ない世
間話だが、重要な話もさりげなく盛り込まれることもある。

「こればかりは別だろうね、バスト大将軍」
「アンザーティですか、確かに彼らは問題ですね」

アンザーティとは人間に非常に酷似した種族であるが、マインド・テレパシーで犠牲者を魅了し、両頬
に隠された触手で脳味噌や生命エネルギーを吸収する、恐るべき食人鬼である。その能力を活かし
て彼らは暗殺者として銀河社会に参加しているが、捕食される側からすればたまったものではない。
しかし、人間にとって幸運なことに現在の銀河の表社会は人間が圧倒的な勢力を誇り、かつて無い強
大な中央集権国家を築いていた。

『滅ぼすなら今しかない』

上から下までがそういった考えに囚われ、皇帝も例外ではなかった。しかし、いつの時代にも大義名分
は必要である。いきなりの虐殺は到底支持を得られないだろう。そこでいくつか下準備を始めていた。

「して、どのような手を打たれましたか?」
「アンザートに環境ホルモンを密かに工作員に撒かせている。出生率が格段に落ちるだろう。
それから、人間中心主義者に密かに支援を与え、論壇で攻撃をさせている。市民達も影響さ
れている」

彼らは普段銀河を放浪しており、母星には繁殖の時にだけ帰る性質がある。その為、出生率が下がれ
ば多くの者が帰還することになる。また、プロパガンタによって多くの支持を取り付けることも必要だ。即
位したばかりの彼の権力基盤は磐石とは言い難い状況にある。

「陛下、自分の嫌がることは人にはなさらないのが信条では?」
「ああ、『人』にはね」

美しい女性に自らの子を宿させることを楽しみの一つとしている彼への少しきついジョークとして参謀総
長は言ったが、返ってきた言葉も辛辣なものだった。無論、それは食人鬼達に対してであって、彼ら2人
には朝の頭の体操とユーモアでしかなかったが。

数年経ち、予想通り大半のアンザーティがアンザートに集まった。しかし子はできず、できない以上は星
を離れるわけにはいかない。更に帝国は近隣の惑星を焚き付けてアンザートへ侵攻させた。彼らも独自
の防衛軍を組織し、これらと戦ったが、全て帝国の掌の上で踊らされただけだった。

皇帝の息のかかった議員達のアンザーティ達に圧倒的に不利な紛争調査報告、それに伴う、アンザート
の武装放棄勧告、帝国軍の駐留。ここに来てやっと彼らは気がついた。

『帝国と人間に嵌められた』

より一層の軍備拡大と、駐留軍に対するテロを彼らは仕掛けた。直ちに帝国はキラヌー大提督とズィアリ
ング大将軍を総司令官とする遠征軍を派遣し、圧倒的な軍事力で彼らの掃討を開始した。彼らは女子供
に至るまで無慈悲なストーム・トルーパーやスター・デストロイヤーと戦ったが、刀折れ矢尽き、名立たる
都市は灰燼に帰し、皆殺しにされた。更に帝国軍は撤収時にアンザートの大地に塩と放射性物質を満遍
なく、幾層にも渡ってばら撒き、永遠に不毛の地とした。ここに食人鬼は永遠に消滅したのである。

「君は料理も堪能だね、ローストビーフのサンドイッチは最高だ。仕事の後ならなお格別」
「乗馬の後に朝食か、実に優雅な嗜みだな大将軍」
「恐れ入ります両陛下」

朝の庭園には花や木のかぐわしい香りと食事の香りがいつまでも漂っていた。


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