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持ち帰ったキャラで雑談 その二

371:2008/08/01(金) 17:24:22
突然はらはらと涙を溢した妻にゼロツーはギョッとした。
「大丈夫か?」
彼女は顔を覆った両手を外し、涙ながらも澄んだ顔で頷いた。
「ようやく、わかったの」
なにが、と聞くつもりが声はかすれ、気の抜けた息が口から漏れた。
「愛が」
その言葉にどきりとした。
はてさて鬱の苦しみの果てに何を見たのか。どことなく緊張しながらも彼は妻を見つめた。
「私は、ずっと母に愛されてなかったと思って、彼女をにくんだわ。
でも、そうじゃなかったの。あの人は分からなかっただけ、ただただ愛する事を」
いよいよ訳が分からなくなり、ゼロツーは首を傾げた。
「よく、分からないんだが…」
「簡単に言うならギブアンドテイク。何かをする代わりに代価を得る。
ほら、よく言うでしょ?何をする代わりに愛してあげるとか」
でも、本当はそうじゃないの。と彼女はゼロツーの手を取り、続ける。
「愛に条件なんていらないの。
凄く当たり前な事なんだけど、当たり前だからこそ判らなくなるの」
抱き締められ、ただ目を丸くする彼を彼の妻は優しく。
「私の心にも母が居たの」
言葉のひとつひとつが柔らかに心へ降り注ぐ。
「あれをしなさい、これをしなさいって怒りながら言うの。
でもそれは私への言葉じゃなかった。あれは…母が、母の母に向けた言葉だって気付いたの」
ただ愛してほしくて、それでも言えずに心へしまいこんだ、悲しい言葉。
「…どうして、そう思うんだ」
「うつの、底の見えない苦しみのお陰かしら?」
やはり彼女の考えていることはゼロツーには理解出来なかった。
それでも、確かめなければならない事が彼にはあった。
「紫」
「はい」
「私の事も―」


愛していますか?


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