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持ち帰ったキャラで雑談 その二
370
:
豪雨
:2008/07/29(火) 22:10:54
空が輝く。
もはやそうとしか表現出来ない閃光と同時に、天地を貫く轟音が走った。
「…………んっ」
それはもはや音と言うよりも衝撃に近かった。
ベルリンの壁に新幹線が最高速度で突っ込んだような、胃にズンと来る響き。
それは雷が怖いとか怖くないなどという次元の問題ではなく。
遺伝子に刻まれた自然への畏怖を呼び起こされるかのようだった。
「うはー、あれは間違いなくどっかに落ちたわね」
窓の外を眺めるアーチェの声は不思議と弾んでいた。
「あれがここに落ちたらどうなんのかしら。炎上?」
「縁起でもないこと言わないの」
そもそもと、
「アーチェは常日頃からお手軽な雷を落としてるじゃない。主に春原の頭に」
「あれはちゃんと狙って人の頭に落としてるわよ。家に落としたら危ないじゃん」
人の頭に落とすのは危なくないのかという理屈は問うても無駄なので沈黙。
再び閃光が走り、世界が震える。
「…………んっ。――ねぇ、さっきからアーチェは何でそんなにはしゃいでるの?」
「はしゃいでる? あたしが?」
そう見えるのかしらと、
「けどこんだけ雨とか雷がバシバシ降ってると、なんかワクワクしてこない?」
滝のように雪崩れ落ちる豪雨。
クレバスのように世界を裂く雷。
これらを眺めて楽しいと思える心理構造とはさて。
「…………お子様なんだから」
「へー。あたしがお子様ならリディアは何?」
アーチェの顔に狡猾な笑みが浮かぶ。
「……どういうこと?」
そのいやらしい雰囲気に思わず怯んだところに雷が重なった。
「…………んっ」
反射的に目を閉じる。
「あーらリディアさんったらずいぶん可愛らしいリアクションですこと。
まるで雷に怯えるちっちゃな女の子みたーい」
頭に血が上ったのは、怒りか恥ずかしさか。
「別に雷が怖いんじゃなくって! あの音が、こう、うるさいのが嫌っていうか……」
「図星を指されて必死なんじゃりませんことー?」
そのバカにしきった高飛車な物言いに、リディアの額にかすかに青筋が浮かぶ。
「……わかったよ」
「へ?」
詠唱は一瞬。
あちらとこちらを結ぶ門を開くのも、また一瞬。
「――雷杖よ。意思通ずるなら、応えて」
アーチェは生来の動物的勘で部屋から飛び出した。
豪雨の降りしきる『外』と、今リディアがいる『中』。
――選ぶなら、躊躇いなく前者だ。
「ラムウ、あの娘は雷がちっとも怖くないらしいの。だから本気で大丈夫だよ」
「大丈夫なわけあるか――――ッ!!!」
雨の中を猛烈な勢いで逃げるアーチェを追い、リディアも部屋から飛び出す。
幸か不幸か、頭から自然への畏怖とやらは消し飛んでしまっていた。
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