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持ち帰ったキャラで雑談 その二

363祭囃:2008/07/20(日) 23:15:28
 日も暮れた街中は、しかしあちこちに揚げられた提灯の光に明るく照らされていた。
 とある商店街のお祭りに、誘われるように足を運ぶ。
「すごいお祭りだね」
 ともすれば耳を塞ぎたくなるほどの大音量も、不思議とこの場にいると心地よい。
「それはいーんだけどさー」
 アーチェは尾のように垂らした髪を風に遊ばせながら、
「なんか危なっかしいのよね、この服…」
 どうやら浴衣がいまいち合わないらしい。
 箒で飛び回ることを前提とした服装が多いせいか、
布きれを帯で止めるだけという格好に抵抗があるようだ。
 一方で、それをまったく気にとめない同性もいる。
「やきそばだー」
 飛び出しかけたアスミの首根っこを、神速の勢いで掴むのは代理人。
「やきそばー、やきそばをたべるよー」
「買ってきてあげるから、一人であちこち行かないでね」
 諭すようにリディアが言うが、無論その程度で納得するアスミではない。
 実年齢数千歳に対して完全にお子様扱いだが、アスミの場合
そのまま食べ物を求めて失踪する可能性もあるため、お子様よりも遥かにタチが悪い。
「青いのはなせー」
 バタバタ暴れるアスミだが、代理人は意に介さず缶コーヒーをすする。
 浴衣がはだけるのもお構いなしで動き回るため、本人より周囲が戦々恐々という有様だ。
「代理人も食べる?」
 問うリディアに代理人は即答。
「むしろディアを食べたい」
「うんわかった、そのままコーヒーをすすってるといいよ」
「……最近ディアの反応がドライ」
「あの、ご主人様…そういうのはもう少しこう柔らかめに……」
 とある経緯から代理人を主とする精霊アイリが、控え目な声で横からそう告げる。
「たこやきだー」
「アスミ! 脱げる、脱げるっ!」
 色々と危険なことになり始めたアスミに、リディアが顔を青ざめさせる。
 とっさに手近にあったカ○リーメイトをアスミの口の中に放り込むと、
「アーチェ、ちょっとアスミを抑えるのをてつ、だっ…て……?」
 いない。
 消えた姿の代わりに聴こえてくるのは、
「うあー、また手前で落ちたー。おっちゃん、これ砲身曲がってんじゃない?
 ……え? 曲げてますが何か? こっちも商売ですから?
 いい度胸してんじゃない! ならあたしはこれであのPS3を落としてやるわよ!
 軽くまぶたを落とした半眼で、射的屋を見遣る。
「『あれはもはや戦力にはなり得ない。金を無心される前にここから離脱しよう』
 ――と、リディアは思った」
「………………」
 普段なら否定するモノローグに、しかしリディアは沈黙を返した。

 その後、たこ焼き屋の屋台がアスミにタダでたこ焼きを一箱提供してくれたのは、
さてどういう理由からだったのか――リディアにはわからなかった。


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