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持ち帰ったキャラで雑談 その二

360凍夏・上:2008/07/17(木) 23:27:27

 さて、始まりは何だっただろうか。
 希望が先か。絶望が先か。
 もはやそれさえわからない。

 季節が夏を迎えるにつれ、地面を覆う影も減る。
 青々と茂る葉を軽く見遣りながら、やや非建設的な作業を繰り返す。
 しばらくすれば落ちる葉がまた地面を包むだろうが、それもまだ先の話だ。
 淡々と、意味と無意味の狭間をたゆたうルーチンを刻む。
 ふと、音が近づく気配に気づき、霊夢は箒を動かす手を止めた。
「……ずいぶん情けない姿になったものね」
 その姿を視界に留めた、最初の感想がそれだった。
 とは言え、外見にさしたる変化が生まれたわけではない。
 変化しない事こそが、彼女に刻まれた業だ。
 だが、それでも普段の彼女を知る者からすれば、別人のような印象を受けるだろう。

 妹紅の気配からは、あの燃え盛る炎のイメージが完全に消えていた。

「私は……」
 伏せた双眸は、誰の方も向いていない。
 そもそも眼前の霊夢を留めているのかさえ怪しい。
 それでも妹紅は言葉を紡いだ――無ベクトルの、独白を。
「何を、間違えたんだろう」
 妹紅の声は死せる亡者のような響きを帯びていた。
 炎どころか、そこには火の粉の印象さえもない。
 あたかも燃え落ちた消し炭のようだった。
「あんたは、何を望んでいたの?」
 対する霊夢は、感情を込めずに客観的視点で問う。
「私は……」
 そこで一旦逡巡し、
「……人に、戻りたかった」
 霊夢は無言。沈黙を貫くことで、先を促す。
「この宿業から逃れたかった。知り合った人々が、抗いようなく皆すべて
自分を置いて死んでいくのを、もう見たくなかった」
 いや、違うな、と、
「単に……私は、死にたかったのかもしれない」
 吹きつける風が二人の髪を弄ぶ。
 集めた葉が散らされていく様を、霊夢は一瞥もくれずにやり過ごす。
 そうして紡いだ言葉は――


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