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持ち帰ったキャラで雑談 その二

352夏の幕開け:2008/06/29(日) 00:32:11
流れ落ちる汗もそのままにペダルを踏み込む。
ギアを一番軽いものにしてあるとはいえ、坂道は流石に辛いものであった。
そこに来て、肌に張り付くようなむし暑さがじりじりと体力を奪っていく。
とうとう限界に達したのか、息を吐き出しながら足を地面につく。
心配して降りようとする連れを手で制する。
そうして肩で息をしながら、先を見つめ、自転車を押す。
便利な乗り物もこうなってはただの重い荷物。
それでも一歩、また一歩と足を進める。
目的地まではもうそう遠くはない。この坂道を乗り切れば、それが見えてくるはずだ。


やがて坂道が終わりを告げ、それが眼下に広がった。
「はぁ――はぁ――はっ――」
半ばむせるように息をつきながら、それを見る。
山の緑と人が作った灰色の町と―空と海。
見たかった色とは大分違っていたが、胸にはここまで来た満足感が広がっていた。
後ろに乗せていた連れも初めて見るであろう海にはしゃぐ。
その様子にここまで来た甲斐があった、と顔を綻ばせて、汗を拭う。


二人を呼ぶ声に振り返る。他の者が同じ様に自転車で―あるいは徒歩でこちらに来ている。
もうじきこの光景は二人だけのものではなくなる。
だから、と言うわけではない。
気付けば二人は海に向かって叫んた。
ひとしきり叫んで顔を見合わせてわらった。
首にかけたタオルからは汗の匂いがしていた。


もうじき、夏がくる


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