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持ち帰ったキャラで雑談 その二

338憐哀編sideイサ、4:2008/06/12(木) 23:12:56

 一日目 PM 18:30

「……なぁ、どうかしたのかお前?」
 春原に指摘されるまで、イサは自分の不調に気が付かなかった。
 いや、指摘されてもなお、イサには言葉の意味がわからなかった。
 だから問う。
「ん? どうかしたんでばさ?」
「でばさって何語だよ」
「現代日本語」
「真顔で嘘吐くな。んな語尾、聞いたことねーし」
「あーぁ、ヨーヘーは流行から取り残されて化石になってしまいましたとさ」
「マジかよ!? ……って、そーじゃねーよ」
 気づいてないのかと、
「お前、さっきからずっと顔が笑ってないんだよ」
 なるほど、とイサは思う。
 確かに気がつかなかった。
 ――普段の自分は、『笑顔であることが当然』と思われていたのかと。

 敗走する文を見送ってから、やってしまったとイサは思った。
 最初は警告で済ませるつもりだった。
 そして、それで終わるとも思っていた。
 文自身が語るまでもなく、文に争う意思がないことなど気づいていたのだから。
 だが、実際にはそうならなかった。
 いや、出来なかった。
 いつもの『悪いクセ』が出てしまったと、イサは歯噛みする。

 イサにとって、苛立ちと殺意は同義だ。
 わずかな心の揺らぎは、即座に対象への破壊衝動にシフトする。
 それはつまりイサの平静を乱すものはイコール抹殺対象になるということだ。
 そんな自分が、イサは嫌いだった。
 だから変わろうと思った。
 変われるとも思った。
 変わったとさえ、思っていたのだ。

 それがすべて自身の楽観的観測にすぎなかったことを自覚したのには、
さすがのイサでも落ち込まずにはいられなかったのかもしれない。
 もっとも、本人がそれと自覚することはなかったが。


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