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持ち帰ったキャラで雑談 その二

317七つ怪談探偵部:2008/05/27(火) 22:45:58
辺りの本棚を薙ぎ倒しながら現れた歪な人型をした怪物を見つめながら、二人は少しずつ横に離れていた。
机の上から拝借したカッターを構えながら、アサヒは注意深く相手の動きを観察していた。
(硬そうだよな…)
一見して攻撃が通りそうなのは先程からぎょろぎょろと世話しなく動いている目位で
他は赤黒く硬そうな皮膚―岩に血管の様な悪趣味な彫刻を施せば、こうなるのだろう―に覆われていた。
「アーちゃん!」
離れて身構えているフヨウが奥を指差す。
見れば、緩慢に左右に揺れる怪物の後ろにぽっかりと穴が空き、人の居る気配があった。
「どのみちこいつを倒さなきゃダメって訳、かっ!」
床を蹴って、怪物へと駆け出す。
(動きが鈍いのならば、目を…!?)
焦点のあってなかった瞳が不意にアサヒを捉える。
罠だと分かった瞬間には、鈍い痛みが体を走り、視界が回っていた。
「アーちゃん!」
フヨウの声をやけに遠くで感じながら、アサヒは胸中で毒づいた。
(くそったれ、味な真似してくれんじゃねぇか)
けれど、アサヒとてただで殴られたつもりはなかった。
目に突き刺さったカッターに血を巻き散らしながら悶えるそれの姿にザマアミロと思いながら、彼女は意識を手放した。


「アーちゃん!」
吹き飛ばされ、本棚にと一緒に倒されたアサヒを見た。
苦しそうに、けれど無事そうな彼女から怪物に視線を戻す。
片目を潰され、怒りに満ちた視線をぶつけてくる。
フヨウはそれに無表情で応えた。
「残念だけど、ぼくは君を怖がらないよ」
右の人指し指を銃の形にし、狙いをつける様に向ける。
すると彼女の足元が再びざわつき始め、黒い物が溢れ出す。
その様子に勝てないと思ったのか、壁に戻ろうとする怪物であったが
何かに気付いたのか、辺りを見回す。
「探しものは彼女かい?」
黒い物の中から現れた少女を顎で示しながら、フヨウ。
「さっき、君とアサヒがやりあってる隙に返してもらったよ」
その言葉を理解したのか、はたまた獲物を取られて怒っただけか。
怪物は腕を振り上げながら、フヨウへと迫る。
「ばーか」
ばりっと怪物にひびが入る。
「もうここはぼくの領域だってまだ気付かないの?」
粉々になったそれを見上げて、彼女はニタリと笑った。
「格が違うんだよ」
恐怖に染まる魔物の目にもひびが入り、
「ばーんっ」
撃つ様な仕草を合図にするように怪物は跡形もなく消し飛んだ。


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