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持ち帰ったキャラで雑談 その二

314七つ怪談探偵部:2008/05/27(火) 20:38:55
「ねぇねぇ、知ってる?高等部の噂」
「一人で西の廊下の鏡に写ると入れ替わられちゃうんでしょ?」
「えー、わたしが聞いたのは鏡に引き込まれちゃうって話だよ」
たわいない少女達のお喋り。
生徒でごった返す昼時の食堂ではごくありふれた光景。
(しかし、怪談ねぇ…)
いつもの定食を口に運びながら、村上アサヒは少女達のお喋りに耳を傾けていた。

生徒達の間に密かに、しかし決して途切れる事のない、怪談話。
何処にでもあるそれはここ、私立西尾杜女子学校にも存在していた。
曰く、東階段の段数がある時間のみ違う。
曰く、地体育館倉庫で自殺した女子生徒が泣く声がする。
曰く―

(って、もうこんな時間じゃねーか)
ふと目をやった時計の示す時刻に彼女は残っていた味噌汁を一気に飲み干し、
食器を載せたトレイを片手に席を立ち上がった。
まだお喋りを続ける彼女達の横を通り抜け、返却口へと向かう。

「じゃあさ、後で確かめにいこうよ」

「えー、怖いよぉ」

そんな、声を聞きながら。


「すいません、村上先輩はまだ居ますか?」
HRも終わり、生徒もまばらになった教室で身支度を始めていたアサヒはその声に顔を上げた。
見れば、一年生とおぼしき少女が一人、ドアから顔を覗かせていた。
だが、アサヒは彼女とは面識はない。
とすれば、用があるのは自分の隣で眠りこけている生徒―従姉妹関係にある村上フヨウであろう。
「居るけど、寝てるぜ?」
隣の席で幸せそうな顔をして眠る彼女を指差すと、少女はぺこりと頭を下げて、フヨウへと駆け寄る。
「村上先輩、村上先輩ってば」
揺さぶられながも一向に起きる気配のない彼女に少女の声が焦りを帯びていく。
「先輩!きんちゅー事態ですから起きてくださいって!先輩ってばぁ!」
これでは埒があかない。
そう思ったアサヒは呆れながら、彼女の側へと歩み寄り、勢いよく右手をその頭に振り下ろした。
「みぎゃ!」
流石に起きたのか、フヨウが驚いた様に身を起こす。
「うぅ、何か頭が殴られたように痛いぃ」
その言葉にアサヒは右手をヒラヒラさせながら、明後日の方を向く。
首を傾げるフヨウに少女が何事かを巻くし立てている。
すると、彼女は帰り支度を再開したアサヒの方を向き、
「アーちゃん」
笑顔で言うのだった。
「手を貸してくれない?」


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