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持ち帰ったキャラで雑談 その二

311悔悛:2008/05/24(土) 00:04:00

 どうやら、彼は死んだらしい。

 不思議とリディアはそれを事実としてすんなりと受け入れられた。
 人づてで聞いたに過ぎず、またその根拠もまったくないにも関わらず、だ。
 何とはなしに予感していた。
 いつか、こんな日が訪れるのではないかということを。
 まさかそれが死別という形で具現化するとは夢にも思っていなかったが、
それでも何らかの形で別れの時が来ることはわかっていたのだ。

 ――彼はこの世界にいることに耐えられなかった。
 それは己の立ち位置を自覚してしまった瞬間から芽生えたものだろう。
 一つの王国が終わりを告げ、リディアとアーチェ、そしてすずを除く全員を
この世界から断ち切った時には、彼の幸福は終わっていた。
 そして彼は今、世界から自分自身をも断ち切ったのだ。
 ――未練を断つのにかかった時間は、約2年。
 そう考えればむしろ遅すぎたとも言える。

 リディアの中に、悲しい、という感情は湧かなかった。
 それは彼自身の罰から来るものだろうか――いや。
 リディアは理解しているのだ。
 これが決して終わりではないことを。

 争いは止まらない。むしろ加速していくだろう。
 彼はもういない。
 けれどここには彼女がいる。
 何も変わらない。
 何も終わらない。
 ここからだ。
 ここからすべてが始まっていく。

 ――リディアとアーチェに遺されたのは世界の断片。
 ――彼女が持つのは残りすべての理。

 世界はもはや完全を失い、託された者の意に従うのみとなる。


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