[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
持ち帰ったキャラで雑談 その二
305
:
訃報・上
:2008/05/17(土) 23:47:36
そこに在れば、薄ら寒い怯えと共に誰もが思うだろう。
――ここはどこだ、と。
「これって…………」
あたりは不気味な静寂に包まれている。
道を歩く足音さえ聞こえない――それ以前に、人の姿がない。
比喩などではなく、針を落とせばその音が聞こえるだろう。
――わずかに、一歩。
ただそれだけで、人間達に置き去りにされた無機質の建造物だけを残し、生の気配はこの地から根絶された。
それがどれほど異様なことか、二人は理解していた。
と同時に、その意味も。
「……久しぶりね、『ここ』も」
わずかに茶化すようなアーチェの口調も、緊張に歪む表情を崩すには至らない。
「久しい」という表現が正しいのか、実のところアーチェにもわからない。
ただ、かつて同じような場所に踏み入れたことがあるという話だ。
――同じような場所。
無限の可能性から堕とされた粗悪な世界。
名もなき泡沫の、弾けるその一瞬前。
ここは『生』という概念が劣化しているため、踏み込むことは出来ても生まれることはない。
ここは『死』という概念が劣化しているため、どれだけ殺されても死ぬことはない。
何もかもが不完全で、そして何物も完全ではいられない御伽の国。
リディアはそこに足を踏み入れた瞬間から、無言で目を閉じていた。
しかしそれもしばしの後にぽつりと、
「私達以外に、あと一人」
魔力を『視る』リディアの言葉に誤りはない。
「アイツってこと?」
首を横に振る。
「魔力の気配がするんだから、多分違うと思う」
知らない間に魔法を身につけたりとかしてたら、話は別だけれど。
そんなことを言外に言っている。
しかし、それが有り得ないことを二人は理解していた。
ここは「神」の領域なればこそ。
ここで「神」の願いは叶わない。
二人は、この世界に存在する最後の一人を探した。
いや、探したという表現は適切ではない。
――探すまでもなく、すぐに遭遇したからだ。
そこはまさしく、あの人間が住む場所に違いなかった。
アーチェも度々訪れたことがある。見間違えるはずもない。
その入口に、蒼い僧服を着た一人の女が立っていた。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板