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持ち帰ったキャラで雑談 その二

303昔話:2008/05/17(土) 00:11:39

 ――むかし、むかし。
 ――それは、ある世界の中の、ある町の中の、あるアパートの中のお話。

 そこには六畳一間の王国がありました。
 世界で最も小さなその王国には、十数人の住人と、一人の従者がおりました。
 その国の王様は女王様でしたが、統治などはせず、住人は自由気ままに過ごしておりました。
 一人の従者は自らのことを『使徒』と呼び、王様を大変崇拝しておりました。

 しかし、時が経つにつれ、王国はその様相を変えていきました。
 いつの間にかそこは帝国と呼ばれ、不必要な軍備増強が繰り返されたのです。
 もともといた住人達の多くは居場所を失い、去っていきました。
 温かった空気も、次第に鉄の冷たさを帯びるようになりました。
 
 ある時、住人の一人が解放宣言を唱えました。
 自分達には自由に暮らす権利がある――と。
 それに同調したメンバー達が派閥を作り、帝国に反旗を翻しました。
 たちまち両者の間には軋轢が生まれ、鉄の冷たさは焼けた鉄の熱さへと変わっていきました。

 やがて二つの派閥は互いの境界を踏み越えます。

 ――帝国派のリーダーはリディア。
 ――独立派のリーダーはアーチェ。

 両者の争いは『ハルマゲドン』と呼ばれ、その世界の歴史に刻まれました。
 結果として、帝国は解体。
 六畳一間の王国は、六畳一間の民主国家となりました。
 一人の従者が夢見た砂上の楼閣は、そうして終わりを迎えました。

 ――むかし、むかし
 ――それは、ある世界の中の、ある町の中の、あるアパートの中のお話でした。


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