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持ち帰ったキャラで雑談 その二

290憐哀編sideイサ:序章:2008/05/05(月) 22:41:52

 生まれつき、ボクの心は欠けていた。

 それは悪魔として生を受けた身であれば歓迎すべきことだと、いつか言われた記憶がある。
 ――悪魔。
 自分という種族を表すその単語に、特にこれといった他意を覚えたことはない。
 ただ、『悪魔』であれば自分は喜ばれるのだと、幼心にそんなことを考えた。
 喜ばれることは、嬉しい。
 ボクは『悪魔』であることを誇りに思った。

 ――それなのに。

 歯車は、一体いつの間に歪んでしまったんだろう。
 理由はわからない。
 ――嘘。
 わかっている。
 教えてくれたから。
 ただその当時のボクはまだまだ幼くて、拒絶される意味を理解することなんて到底出来なかった。
 けれど、覚えていた。
 言われた事実は事実として、整理されることもなく、心の引出しの片隅に
ずっとずっと置きっぱなしにされているだけ。
 今でも簡単に思い出せる。
 昨日のことのように。

 そして今ならその時の言葉の意味がわかる。
 思い出しても、痛くない。
 思い出しても、辛くない。

 生まれつき、ボクの心は欠けていた。


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