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持ち帰ったキャラで雑談 その二

287神葬祭:2008/04/29(火) 21:42:31
「霊夢、何をしてるの?」
 昼間から部屋の片隅に佇んでいた博麗神社の巫女に、
夜も更けたこの時になって初めてリディアは声をかけた。
 何しろ、食事もとらずに黙々と作業をしているのだ。
 ――いや、それは作業と呼んでいいのかさえ不明だった。
 彼女は手に旗のようなものを持ち、正座姿でずっと目を閉じていた。
 声に反応した霊夢は、わずかに疲れているようだった。
「頼まれたのよ」
 微妙に答えになっていない。
「そもそも私は巫女であって神主じゃない。神職にも就いてない。
 祀りを行うには分不相応だって言ったのに」
 溜息交じりに肩をすくめる。
「祖霊舎も奥津城も用意できない。それ以前に遷霊祭だって無理よ」
 おまけに何やら不平不満。
「その割に、やけに一生懸命に見えたけど」
「一生懸命、ね。柄にもないわ、本当」
 軽く自嘲しながら、額の汗を拭うように前髪を軽くかき上げる。
 その重い動きに、頭の可愛らしいリボンさえ重苦しく感じる。
「始めて10分で後悔したわ。やめときゃよかったって」
 リディアにはその言葉の意味が理解できない。
「……でも、すっと目を閉じてただけでしょ?」
 そこに何の意味があるかはわからない。
 だが、やめようと思えばいつだってやめられたような気がした。
 少なくともリディアには、霊夢の今日一日の行動によって何かが変わったようには思えない。
「変わるのよ」
 リディアの言葉を、霊夢は一言で一蹴。
「こういうのはね。変わると思えば変わるの。
 経験ない? 『今日はきっとついてない』と思った朝に限って、その日はついてないとか」
 こくこくと頷く。
「それはその日が本当についてなかったわけじゃない。
 いつもなら瑣末事として気に止めないことを、何でも『ついてない』と捉えるからついてないの」
 だから、
「こうして祈ることで、誰かの想いに報いることが出来るのであれば。
 ……そこには意味があるのよ。確かにね」
 そこでようやくリディアにも理解できた。
 彼女がここで、どんな気持ちで、何をしていたのかを。
「……一生懸命だったんだね」
 同じ言葉を繰り返す。さっきとは、微妙にニュアンスを変えて。
「当たり前でしょ」
 すると、返ってきた言葉も変わった。
 霊夢は深く息を吐き、目を閉じる。
 少し翳を帯びたその表情は、薄白い明かりの下でもはっきりと陰影が浮かぶ。
 今、彼女の胸の中ではどんな感情が廻っているのか。
 リディアにはわからない。
 ――ただ、ひとつだけ言えるのは。
「私には何も出来ない。せいぜい祈ることぐらいだって――そう言ったのに」
 彼女は自ら望んでそうしていたのだと言うこと――
「知り合いの知り合いの知り合いなら、赤の他人とも呼べないしね」
「まだ続けるの?」
「そうね、日付が変わるまでは。そこに意味はないけど」
 リディアは少しだけ逡巡し、やがて意を決して、
「……私も、参加していいかな」
「ご自由にどうぞ」
 その言葉をあらかじめ予想していたかのように、霊夢は即答。
「ただし、日付が終わったら直会を用意してもらうわよ」
「なおらい?」
「後で教えたげるわ。ほら、正座しなさい。
 言っとくけど、途中でやめることは許さないからね」


 これが俺に出来る精一杯ってことで。
 せめて冥福だけは祈らせていただきます。


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