したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

持ち帰ったキャラで雑談 その二

286憐哀編side春原:間章:2008/04/27(日) 19:33:07

 ――さよなら、ヨーヘー

「なんだよ、それ…」
 わからない。
 こいつは一体何を言ってるんだろう。
 突然だった。
 わずか数十分。
 その間に、一体何が――いや、一体誰が。

 この少女を、ここまで追い詰めさせたのだろう。

「なんだよ、それ!!」
 僕は今、何に腹を立てているんだろう。
「意味わかんねぇよ! これまで好き勝手に僕を振り回しといて!
 今さら一方的になめたこと言ってんじゃねぇよ! 自分勝手にも程があるだろ!」
 違う。
 僕はこんなつまらないセリフを吐きたかったわけじゃない。
 なぜ、こんなことになったのかと。
 何が、ここまでイサを追い詰めるのかと。
 ――どうして、何も語らず独りでどうにかしようとするのかと。
 イサは、背中を向けたまま何も答えない。
「こっち向けよコラ!」
 それは普段の行動が反射となって表れた結果だった。
 見た目僕よりお子様の彼女の肩を、僕は力任せに引っ張っていた。
 お子様相手と遠慮する余裕もない。そのくらい僕は動揺していた。
 いつも突き放す側だったからこそ、今突き放されたことに平静を失っていた。
 当たり前だったものが失われんとする、その瞬間。

 けど、僕の必死よりも、イサの覚悟の方が遥かに上だった。

「!?」
 腹部に走るすさまじい衝撃。
 痛い、なんて感じる余裕もない。
 腰が抜ける感覚を、僕は生まれて初めて知った。
 足に力が入らない。
 膝から崩れ落ちるように、僕の体は力を失っていく。
 ――ごめんね。
 耳に届く、かすかな声。
 軽く抱きしめられる。
 見えない。呼吸ができない。苦しい。
 ――大好き、だから。
 口が塞がれる。温かい柔らかさ。
 頬に当たる冷たい感触。

 この時のことを、僕はこれから忘れることは出来ないだろう。
 縋られていたものに、縋ろうとして。
 突き放された時の、やるさなさを。

 僕は、決して、忘れない――


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板