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持ち帰ったキャラで雑談 その二

258双翼と宿木、2:2008/02/11(月) 22:59:46

『そこ』は安息の地であり、また地獄でもありました。

 そのまなざしが私に絡まるだけで心が躍り。
 その手が軽く触れ合うだけで全身が焼けるような温かさに包まれ。
 その声で名を呼ばれるだけで、すべてを捧げても良いと思えるのです。

 けれど、想えば想うほど。
 慕えば慕うほど。
 彼のしたその仕打ちを、私は思い出さずにはいられないのです。
 彼を非道と罵れば、私の心は少しは軽くなるでしょう。
 けれどその代償に、そのまなざしは二度と私を見てはくれなくなるでしょう。

 いえ、彼だけではありません。
 もう誰も、私を見てくれる人はいないのです。
 彼はこの世で最も憎むべき存在であると同時に、
 この世で唯一私を認めてくれている存在なのですカラ。

 そこにいるだけで、私は例えようのない幸福に包まれます。
 同時に、その幸福の大きさに不安を感じずにはいられなくなるのです。
 私が望めば、あなたはいつまでも私を側においてくれますか?
 それとも、意義に反するからと冷たくあしらいますか?
 彼ならどちらもありえそうで、私は問うことが出来ません。

 彼は私のすべてです。
 憎しみも、好意も、私はすべてを彼に捧げました。
 だってそうでしょう?
 もはや『どこにもいない』私は、彼の幻想の中でのみ形を留めていられるのですから。

 安らぎと、絶望と、ほんの少しの虚無を与えてくれる場所。
 ――あなたの、隣。

 そこは安息の地であり、また地獄でもありました。


 ………………………


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