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持ち帰ったキャラで雑談 その二

247雪と子と巫女:2008/01/18(金) 21:43:04
寒いと思えば。
窓の外にちらつく白片を見上げながら、早苗は火鉢に炭を入れた。
冬になる前に「必要不可欠だ」と山のように拵えられたそれらは暖房機器など
ほとんどないこの場所では重宝できるものであった。
きっと朝入れた掘り炬燵の炭も残り少ないだろう。
そうなれば、寒さに弱い神様がまた寒い寒いと布団に潜り込むだろう。
それではあまりにも情けない気がして、早苗は足早に土間を後にした。

「あら…?」
寒い廊下を進む彼女の目に雪の降る境内に立つ誰かの姿が入る。
その人物は踊るように空に手を伸ばし、白くなった息を何度も弾ませていた。
石畳を跳ねるように裸足で踏みしめながら、誰かがその場でターンを決め、
「あ、早苗ちゃんだ」
白い髪から覗く深紅の目を細めながら、彼女は笑った。
「村上、さん?」
「んもぅ、呼び捨てでいいってば」
驚き、立ったままの早苗を見つめながら、フヨウは再び舞い始める。
「あの、何を?」
「踊ってる!」
それは見れば分かる。
少し馬鹿にされた気がして、早苗は火鉢を手近な場所に置き、その場に座った。
「あのさ、空から雪が降ってくると何だか
『一緒にダンスはいかが?』って誘われてる気がしない?」
思わず首をかしげる。
フヨウは少し変わった子だとは思っていたが、感性等は早苗の理解の域を出ていた。
「でね、踊ってるとそのうち雪の結晶がね、きらきらしてすごく綺麗になってくの」
ほら、と差し出された手の上には木の葉に乗せられた雪の結晶たち。
「綺麗でしょ?」
まるでビー玉を見せに来る幼い子供のような彼女に早苗はそうですね、と
つられるように笑うのだった。

その後、すっかり少なくなった炭の追加に再び土間に戻り、
居間に向かった早苗が見たのは寒さに耐えきれず、炬燵の争奪戦を繰り広げる二柱の神と
ちゃっかり炬燵で暖をとるフヨウの姿だった。
「でもさ、やっぱり寒いじゃん」


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