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持ち帰ったキャラで雑談 その二

244憐哀編side春原:三章「諦観の共有」    4/4:2007/12/24(月) 19:53:26

 二日目 PM 23:30

 イサの息はわずかに荒い。
 それ以上に、弱い。
 普段のイサを知っていれば、なおさら今の姿は異様に映る。
 その顔に普段のむやみやたらな快活さはほんのこれっぽっちもなく。
 そのまま夜の闇の中に溶けていくかのような、昏い表情をしていた。

 ――ボクはもう、ムリ。
 ――これ以上は、何も持っていけない。
 ――アイツは間違いなくボクを『壊す』。
 ――だから、もう、お別れしない、と。

 けど、何より異常だったのは。

「こんなの……ヤだ。もっと、ずっと…ずっとヨーヘーといたかったのにぃ……」

 その瞳から、壊れたように涙がとめどなく溢れていることだった。

 二日目 PM 17:00

 ボールを適当な場所に返して、僕達は再びあてどもなく歩く。
 いつまでこんなことを続けるのか、とか。
 そもそも僕達は何をしてるんだ、とか。
 ――昨夜のコイツを見たら、何も聞けないんだよな……
「ヨーヘー」
「あん?」
「楽しかった?」
「何が?」
「さっきの。サッカーってやつ。球蹴り。ナイッシュー」
 相変わらず言葉はおかしかったけど。
「……まぁな」
 自然と、そんな言葉が漏れた。
「へへっ」
 手が握られる。

 もう、その温かい感触を振りほどく気にはならなかった。

 この時には何となく気がついてた。
 僕が何故コイツの勝手気ままをここまで許してるのかを。
 僕が何故コイツの手を振りほどく気にならないのかを。

 僕はコイツを守りたい。
 このバカなお子様を助けてやりたい。
 間抜けなことに、硬派で通るこの僕がそんなことを思ってしまってた。


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