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持ち帰ったキャラで雑談 その二

221憐哀編side春原:序章「成り行きの駆け出し」:2007/11/23(金) 16:22:24
 吐く息が白い。
 もう冬が近いってことを、嫌でも思い知らされる。
 街を照らすイルミネーションが鬱陶しい。
 冬なんぞ嫌いだ。
「……寒い、ねっ」
 語尾を無理に上げてるのがバレバレだった。
 ――何で元気な風を装ってんだか。
 僕は無言で歩く。後ろからついてくる足音に耳を澄ましながら。
「何で、冬なんて、あるんだろうねっ」
「神様の嫌がらせに決まってんだろ」
「なるほど。ヨーヘー、頭いい……ねっ」
 尻すぼみなトーンは、まるで声まで凍りつく様を表わしてるようだった。
 軽くイラつきながら振り返る。

 そこにいるのは、一言で言ってしまえばガキだった。
 取るに足らない、そこらへんに掃いて捨てるほど湧いてる連中と同じ。
 いや、同じように見えるだけの、別物。
 別物の――それでも、ただのガキ。

「あのな、この季節に半袖短パンじゃ寒いに決まってんだろうが」
「だってこれがボクのチャームポイントだし」
「チャームポイント丸出しで凍死する気かよ。バカじゃね?」
「ヨーヘーに言われたらおしまいだ、ねっ」
 ――口の減らねーガキ。
 苛立ちはおさまらない。
「ほら」
 着てたコートを脱いで、差し出す。
「?」
「着ろよ。寒いんだろ」
「ボクはチャームポイントのために凍死する覚悟は出来てました!」
「うるせーよ。僕がムカつくんだ、黙って着ろ」
 まったく、鬱陶しい。
「……ありがと」
「今日の晩飯代は僕が7でお前が3だからな」
「ありがたくないっ!?」
 何でこんな寒い日に、こんなとこで、こんなガキと、こんなやりとりをしてるのかと思いつつ。

 僕らは、二人きりで、逃げている。


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