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持ち帰ったキャラで雑談 その二

184確執編十九章:開演の再演       3/6:2007/10/09(火) 21:26:22

 ・三日目 サイド:リディア

 いつしか、語ることがなくなって。
 私達は無言でそこにいた。
 語るべきことなら、いくらでもある。
 ただ、切り出せないだけだ。

 ふいに一際強く風が吹いた。
 風はあるのに、音がないなんて不思議な世界だ。
 目を眇めてふとアーチェの方に目を遣る。


    ――視線が、合った


「そろそろ始めよっか」
 まるでゲームでも始めるかのような気軽さで、そう言った。
「……何を?」
「何を? そんなの決まってんじゃん」
 目を見開く。
 アーチェの足元が赤く輝いた――高位魔法を使う時に現れる、魔法陣。
 つまりは、そういうことだ。

「まさか、あたしのことを許せたわけじゃないんでしょ?」

 ・三日目 サイド:アーチェ

 リディアが、小さく微笑んだ。
「――許せたわけじゃない、か。うん、その表現は面白い」
 その手が青く輝いてる。
 あたしと違って、彼女の魔法に余分なイミテーションはない。
「私は私を許せない。許す気もない。
 だけど、あなたのことは許したいと思うよ、アーチェ」
「勝手なこと言ってんじゃないわよ」
 右手を掲げる。脳裏に『あの日』の光景が蘇る。
 けどあの時とは違う。
 あたしは、あたしを疑わない。
「誰も許してほしいなんて頼んでない。思いあがんのも大概にして」
 同じように。
 あたしは、もう、リディアを疑わない。
 わかりあうという幻想に浸るのに足りないもの。
 それは――

「そうだね。私達はそうやって、自分を許すために、相手を責めた」

 息が漏れた。
 体が小刻みに震える。
 誰が見てもそんな場面じゃない。
 それなのに、あたしは――笑いをこらえることが、出来なかった。
「あなたも私も、一緒。自分が許せないのに、自分を肯定したくて。
 そのためにお互いを否定した。……そんなの、本末転倒なのにね」
 ――ほら、やっぱりあたしは正しかった。

「決着をつけよう。私達はお互いを『赦すことが出来る』。
 足りないものがあるとしたら、それは――」


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