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持ち帰ったキャラで雑談 その二

179確執編十八章:調和という名の歯車     5/7:2007/10/08(月) 17:27:18
「賑やかな夕食は久しぶりですねー」
 言ってる間に目の前に置いてあった皿が消えた。
「………………」
 沈黙している間に持っていた茶碗も消えた。
「浸ってるとなくなるわよ? 割と凶悪に」
「……これはご忠告どうも」
 人の手から茶碗をかっさらっていった張本人――つまりは杏――が頬張るのを、冷めた目で睨む。
 ここは戦場だった。
「これは私がたべるー、これは私がたべるー、これは」
「って、全部じゃないっ! 誰かアスミを抑えなさい!」
「すいません本当にすいません、私がもっとちゃんと準備しておけば」
「仕方ないよリヴァル。一人でこれだけの準備お疲れ様、あとは私がやるから」
「あの……僕の箸がないんですけど」
「それならさっき折って捨てた」
「僕に素手で食えと!?」
「汚いわね。大皿にその手を突っ込んだら両手足縛って外に放り投げるわよ」
「食うなってことかよ!」
「そうよ」

 それは本当に久しく見なかった光景だった。
 2日や3日などではない。『あの日』以来だ。
 何より大きいのがアーチェの存在だった。
 この空間の雰囲気を杏と秋生の三人で作り上げていると言っても過言ではない、
そんな彼女が『意図的に』塞ぎこんでいたせいで、食事時はまさに火の消える有様だった。
 しかし。
 この場にいる誰も(アスミ除く)が理解している。

 こんなものは気休めに過ぎない。
 問題は何一つ解決していないと。

 事実、二人はさっき一度目を合わせたきり、一言も語り合っていない。
 互いの存在を完全に無視、それに関しては旅行の前からまったく変化がない。
 それでもそう言った空気を示さないのは、考えなくしてのことでは無論なく。
 ――リディア様は不穏な空気をアスミに気取られるわけにはいかず。
 ――アーチェは『俺』に対する反感を示すために、自分を理由に空気を乱すわけにはいかない。
 打算にまみれているのはわかっている。わかりきっている。
 だが、それで良かった。

 ――歯車はかみ合わない限り虚しく空転するしかないが。
   一度かみ合えば、どちらかが壊れるまで相手に影響を及ぼし続けることになるのだから――


 ちなみに、浸っている間に料理がきれいさっぱりなくなっていたことは、まぁ、蛇足である。


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