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持ち帰ったキャラで雑談 その二

150確執編十七章:悟りの終着点       8/12:2007/09/06(木) 23:18:33
「ねぇ、『アクマ』。ひとつ聞いてもいい?」
 案の定、あたしがそう言った途端、攻撃の手が止まった。
 これまで『かろうじてあたしが凌げる程度の攻撃』をしていた理由なんて、他には考えられない。
「えぇ、ひとつだけなら」
「理解するって、どういうこと?」
 アクマの表情が変わる。無表情から、わずかな微笑へ。
「そう聞かれた以上、私はこう応えるしかありません。

 ――『それは穏やかな幻想に包まれること』」

 どこかから笑い声が聞こえる。
 誰かと思ったら、声の主はすぐ近く。
 それはあたし自身が発してたものだった。
 ――そっか。そういうことか。
 ようやくあたしは理解した。
『アクマ』の――いや、『とある誰か』の言葉を借りれば、ようやくあたしは穏やかな幻想に辿り着いたってこと。
 何て遠回りをしてたんだろう。
 あたしは答えに辿り着くために、答えとはずっと逆の方向に歩いてたわけだ。

 他人とはわかりあえないとあたしは悟った。
 そんなことはないとセリスは語った。
 ――それはきっと、どっちも正しい。
 結局のところ、他人を理解することなんてできない。
 けど、わかりあうことは出来る。
 その手段は簡単。
『わかりあえる』って幻想にずっと浸り続けてればいい。
 悟った気になったあたしは、その瞬間から他人を理解できなくなった。
 それはあたし自身が理解することを放棄したからだ。

「……ずいぶん長いこと忘れてたけど、ようやく見せてやれそうだわ」

 それはしょせん幻かもしれない。
 実態のない夢でしかないのかもしれない。
 けど、あたしは知ってる。

「これが、あたしよ」

 覚めない夢は現実と変わりない、と。


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