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持ち帰ったキャラで雑談 その二
149
:
確執編十七章:悟りの終着点 7/12
:2007/09/06(木) 23:16:20
人は自分の正しさのために力を使う。
どんなにいい言葉を並べてもそれは変わらない。
あたしの力も、あたしの正しさのために使われるべきだ。
けど、あたしの力は人を傷つけることにしか使えない。
――そしたら、あたしは他人を傷つけることでしか、正しさを貫けないんだろうか。
負けてしまえばいい。
そうすれば、誰も傷つけなくて済む。
あたしの正しさは、どこにも表すことなくあたしの中だけに留めてしまえば――
「詭弁ですね」
アクマの声はこんな時でさえも穏やかに澄み渡っていた。
「己を否定するために詭弁を用いるというのも、愚かな話」
それに応える余裕はあたしにはない。
アクマの猛攻をかろうじて退けるので精一杯だ。
「そうしてあなたはこれからも負け続けるのですか?
優しさというオブラートで誤魔化して、己の臆病を隠して生きるのも――
えぇ、愚かではあっても否定はしません」
何であたしだけが責められなきゃいけないんだろ。
優しさという言葉で臆病を隠す――そんなの、みんなやってることじゃないか。
誰も傷つけたくないって気持ちは本当だ。
それを臆病と嗤いたければ嗤えばいい。
「人間とはつくづく不思議な生き物ですね。生きるために己を否定する思考、私には理解できません」
仕方ない。それが生きるってことなんだから。
「そうですね。このまま私に負けるように、彼女にも負けるといい。
それもまた、あれの望む一つの終りの形でしょうから」
その一言が、眠るように沈みかけたあたしの思考を呼び覚ました。
負ける。リディアに。
具体的なビジョンがあたしの中によぎることで、これまでの自分の思考が具体化される。
誰も傷つけたくないから、自分の正しさを否定する?
何でそうまでして周りを守んなきゃいけないのか。
こう言っちゃ何だけど、あたしはあたしが可愛い。
時と場合にもよるけど、誰かと自分を秤にかけたらあたしは自分を選ぶだろう。
『アクマ』の言う通りだ。
それは優しさなんかじゃない。
自分が傷つきたくないから、誰も傷つけないだけ。
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