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持ち帰ったキャラで雑談 その二

144確執編十七章:悟りの終着点       2/12:2007/09/06(木) 23:06:02

 ・三日目 AM11:00 サイド:アーチェ 

 あたしは正義って言葉があんま好きじゃない。
 その言葉を好んで使う奴にはロクなのがいない。
 自分が正しいことを知ってる奴は、それを自分の中だけに留める。吹聴したりしない。
 何故なら、その正しさが自分だけのものだってことをちゃんと知ってるからだ。
 正義なんて十人いたら十通りのカタチがあって当然で。
 だからこそ――あたし達は、理解し合えない。

 そう考えて、あたしは逃げてただけだった。ずっと。

 ――カチンッ
 それは戦闘の始まりを告げる鐘にしてはあっけなさすぎるほど軽い音だった。
「面白い剣術ですね。魔法を『斬る』とは」
 どうやらあたしめがけて飛んできた魔法をセリスが防いでくれたらしい。
 完全に不意打ちだ。セリスがいなかったら、自覚した瞬間にこの世界から消えてただろう。
「……貴様は何を考えている?」
 怒気を隠そうともしていない。今の一撃がよっぽど腹に据えかねたらしい。
 それにしても狙われたあたしの方がまだ状況を呑み込めてないってのも何だか恥ずかしい。
 一方のアクマは、背から広げた漆黒の翼をはためかせ、
「誰もが理解できる事象など、この世のどこに存在するでしょう?」
 世界に染み渡るような澄んだ音色で、そう言った。
 セリスが駆ける。
 彼女の剣の間合いがアクマを捉えるより早く、大気を引き裂く音が宙を跳ねた。
 魔力で凝縮された紫電の槍。狙いは――あたしっ!?
「つぁっ!?」
 頭より体の方が先に動いてた。
 地面から生えた錐が槍の進行を阻む。
 嫌な汗が背筋を伝う。雪のちらつく世界に、かすかに震えるあたしの躰。

 これが彼女の――ひいてはアイツの中にある意味。
 負けることで得られるものをあたし達に求めてるということ。
 実際あたしは何が得られただろう。
 自分の無力。悔しさ。それ以上に――後悔と、恐怖。
 けどそんなのは今何の役にも立たない。
 リディアと仲直りしろといいたいのか。
 とにかくいっぺん痛い目見ろってことなのか。

 何にせよ、アイツが求めてるものをあげられるとは思えない。あげたいとも思わない。


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