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持ち帰ったキャラで雑談 その二

143確執編十七章:悟りの終着点       1/12:2007/09/06(木) 23:04:38

 ・三日目 AM10:30 サイド:アーチェ 

「これが最終日でよかったわよねー」
 空を見上げながらしみじみとつぶやく杏。
 確かに、と思いつつ倣えば、そこにはちらちらと舞い降りる白い結晶。
「電車止まんないかな。そうしたら『仕方なく』もう一日こっちにいられるじゃん」
「バカね。泊まるとこもお金もないのに、下手したらここで朝まで野宿よ?」
 駅の構内を指差す。春原はつまらなそうに舌打ちした。
 春原の期待とは裏腹に、電車が止まるというアナウンスは聞こえてこない。
「向こうも雪らしいね。このまま降り続けたら積もるかも」
「その時は雪かきお願いね、陽平」
「はぁ? 旅行疲れの、特にやたらと重い荷物を背負わされてボロボロの僕に、まだそんな重労働をさせるわけ?」
「男でしょ? ここでいいとこ見せなきゃあんたの株は死ぬまでストップ安よ」
「杏がやればいいだろ。僕はお前と違って繊細なんだよ」
「陽平〜、犬神家雪原Verの餌食になりたくなきゃ今すぐ前言を撤回しなさい」
「ひぃっ!?」
 二人を無視して、あたしは少し離れたところに一人立つセリスに近寄った。
「来ると思う?」
「ほぼ、間違いなく」
 セリスの声は確信に満ちている。
 誰か、なんて言うまでもない。
「彼女は『彼』と契約を結んでいる。それを果たすためにも、彼女は来るわ」
「そういや昨日もそんなこと言ってたけど。契約って一体、何? それがあたしとどう関係してるの?」
 セリスの顔にわずかに生まれたのは、躊躇いだった。
「…私も、そんなに詳しく知ってるわけじゃない。特に『彼』が何を提示して彼女を従わせてるのかは。
 けど、彼女が何をしようとしてるかは知ってる」
「教えて」

「……あなたを、負かし続けること」

 呼吸が止まった。
 何となく予想はしてた。それでも面と向かって言われるとショックだった。
「正確に言うと、同等の条件下でって制約がつくらしいんだけれど」
「同等の?」
「剣には剣で、魔法には魔法でのみ対すること。
 けど彼女はそれを守らなかった。つまり最優先はあくまで――」
「あたしを殺すこと、か」
 それは死の劣化した世界であたしを殺させ続ける契約を交わしたってこと。
「……やっぱ、アイツあたしのこと恨んでんのかな」
 考えてみれば、あたしは当たり前のようにアイツは中立だと思い込んでた。
 けどアイツが使徒を名乗ったのはあくまでリディアに対してだ。あたしじゃない。
 秤にかけて向こうを選ぶのは、極めて自然なことじゃないか。
「あなただけじゃないわ。これはリディアに対しても行われてる」
 あたしの心理を読んだのか、セリスがそう言葉を付け足した。初耳だ。
「私にはその意図はわからないけれど…負けることに意味があると、そう思ってるみたい」
 負けることの意味、か。


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