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持ち帰ったキャラで雑談 その二

132埋葬、5:2007/08/11(土) 20:30:40
 ここは一体なんだろうか。
 森の中を、歩いてきたはずだった。
 しかしそこに現れたのは、明らかに人間の手によって作られたとしか思えない建造物。
 周囲には何もない。
 正確には、人工的なにおいを感じさせるものは、何も。
 道さえなかったのだ。当然ながら、人が住んでいる気配はない。
 森の中にぽつんと立つ、忘れられた廃墟――
「アスミは、この中ですか?」
 こくりとうなずく。
 足もとに気をつけながら、とりあえず一歩踏み入れる。
 そして――自分の認識が間違っていたことに気づいた。

 ここは忘れられたのではない。
 棄てられたのだ。

「……聞こえる」
 何が、と問うより早くその声は自分の耳にも届いた。
 格子の外された窓枠から、まるで無粋な侵入者を咎めるように大気を揺らす緑の喧噪――
その中にあって、かすかだがはっきりと鼓膜を震わせる意味ある韻律、あるいはその羅列。
「これ……あの声だ」
「その指示代名詞に該当する具体的名称を共有してください」
「本当に好きだよね、わざわざ回りくどい言い方するの。
 だから、幽霊。時々聞こえるあの声とおんなじ」
 リディア様の声はわずかだが震えを帯びている。
 耳を澄まして聞いてみる。
 その声は、廃墟の奥から聞こえてくるようだ。
 もともと大きな建物ではない。届く声がおぼろげなのは遠いからではなく、声量が乏しいのだろう。
 しかし何より関心を覚えたのは、
「……なるほど」
 正直、アーチェやリディア様の言葉には半信半疑だった。
 聞いたことがあるような気がするのに、聞き覚えのない――そんな形容で飾られる声など経験がない。
 だが――それ以外にどう形容のしようがあるというのか。

 二人と同じ表現しか思いつかない自分が、そこにいた。


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