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持ち帰ったキャラで雑談 その二
131
:
埋葬、4
:2007/08/11(土) 20:27:44
「……あのさ、ずっと考えてたんだけど」
と彼女が言い出したのは、降りしきる暗黒という名の雨に全身を包まれた頃。
携帯の画面を唯一の灯りにして歩いていた四肢を止め、彼女を見る。
「ひょっとしたら、これは幽霊の仕業なんじゃないかな?」
「……はい?」
予想外の単語だった。
「あ、別に気が変になったとかじゃなくて。
今私たちが住んでる部屋にね、最近幽霊が出るの」
「幽霊……」
つい最近そんなことを別の誰かから聞いた気がする。
「よく知ってる気がするのに、誰だかわからない声。それがね、どこからともなく聞こえてくるの。
アーチェやプリシスも聞いたんだから間違いない」
「まぁ確かに怪談話としてはセオリーすぎる展開ですけど」
「信じてないって声」
見透かされた。隠すつもりもなかったが。
足を止め、軽く肩をすくめる。無論、暗がりの中彼女の目には入らないのを見越した上で。
「信じられません。自分の目で見ない限りはね」
「あなたの目はこの世界でそんなに偉いの?」
非難ではない。どこか、試すような響きを感じた。
思わず苦笑が漏れた。
その言葉の意味を伝えるのに「偉い」という表現を用いる彼女の発想に対して。
「確かに、俺の目はこの世界のすべてを見通せるほど大層な代物じゃありません」
それに――
「天使や悪魔がいる『世界』で、幽霊の存在を嗤うのもナンセンスか」
ふと気付いて、再び足を動かす。
相変わらずだが、体力で目の前の少女に劣る自分の体が恨めしい。
「けどですね、それを踏まえてもリディア様の発想は飛躍しすぎてます」
「……わかってる。そう思いたいだけ」
――あぁ、そうか。
自分の浅薄な回路を呪う。
彼女は明確な敵がほしかったのだ。
懊悩や焦燥は問題が解決されない限り消えない。
敵は倒せば解決する。
――これほど安易かつ平穏な解答はない。
そして、平穏とは大概現実から最も離れた場所に存在するものだ。
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