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持ち帰ったキャラで雑談 その二

120確執編十六章:同志の見極め      5/6:2007/07/17(火) 21:35:23
 ガラリと。
 音のした方を振り向くと、唖然とするほど綺麗な肢体が視界に留まった。
「…………神様は不公平だわ」
 頬を引きつらせる杏に、あたしは無言で同意。
 セリスは一度すくったお湯で体を流した後、あたし達から少し離れたところに腰を下ろした。
 ちなみに、セリスの分の宿泊料金は当然ながら支払われてる。
 これもアイツの手引きらしい。準備のいいことだ。
 セリスはあたし達とはちょうど反対方向――庇の向こう側に見える木々を眺めてた。
 あたし達を避けてるのか、単に木々を見るのが好きなだけか。難しいところだ。
 そんな彼女を杏はしばらく歯噛みするような目で見てたけど、急にその顔が変わった。
 思わずあたしは二人から視線をそらす。経験上、杏があの顔になって穏便に事が済んだ例がない。
 杏の姿が消える。湯船に沈んだようだ。
 即座に彼女の狙いが読めた。同時に、それが失敗することも。
 たとえこちらを見てなくても、セリスにはこちらが視えてるに決まってる。
「あの……アーチェ」
「へ……へ?」
 その彼女にいきなり声をかけられあたしは面食らう。
「さっきは、ごめんなさい」
「さっき?」
「昼間のこと」
 少し悩んでから理由に思い至った。
「ひょっとして、アクマの時の?」
 こくりとうなずく。
「…何でアンタが謝んの?」
 セリスの言葉に間違いはなかったし、あたしが原因で『死んだ』以上責められてもおかしくない。
「戦闘時は昔の記憶が蘇って感情が昂ぶるの。それを理由にするつもりはないけど、やっぱり言い方が悪かひゃあっ!?」
「悪か……ひゃあ?」
 ずいぶん新しい謝罪の仕方だ。
「ち、違っ!? ……んっ」
 セリスがおもむろに湯船の中に手を伸ばす。
 杏が釣れた。
「…………………………何してるの?」
 セリスの顔は真っ赤だった。のぼせたのか、怒りのためか、恥ずかしさのためか。これも難しいところ。
「スキンシップ」
 言って、手をわきわきと動かす。
「杏……アンタ、完全に変態オヤジと化してるわよ」
「女同士のスキンシップなんて普通でしょ」
「その手つきと顔はスキンシップの域を軽々と越えてる気がするけど」
 それよりもあたしにはセリスが杏にしてやられたことの方が驚きだった。
 何か他に気がかりなことでもあったんだろうか。
 思ってから、気づく。

 ――さっきは、ごめんなさい。


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