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持ち帰ったキャラで雑談 その二
118
:
確執編十六章:同志の見極め 3/6
:2007/07/17(火) 21:30:32
「正直、私はあなた達が羨ましい」
セリスの独白にも似た言葉は、ひどく透き通っていて。
「親の記憶も、友達との想い出も、私にはないもの」
それだけにどうしようもなく重かった。
「あ、勘違いしないで。別に不幸自慢をしてあなた達の諍いを批判する気はないの」
「……十分、批判された気分だけどね」
「批判できるほど他人を知らない。私はただひたすらに強くなることを求められた――機械だから」
ふと、半年くらい前まで一緒にいた幼い忍の姿が重なる。
あの娘と違うところがあるとすれば、それは――
「友達ってのはね、けっこう面倒なもんよ」
意外そうな顔をするセリス。
「批判できるほど云々なんてアンタは言うけど、そんなのアタシだっておんなじ。
相手が何考えてるかなんてわかるわけないじゃん。エスパーじゃないんだから」
そう、わかりあえるはずがない。自分と相手は違う存在なんだから。
わかりあえなくて、当然。
「それをわかった気になって付き合えて、なお不快に感じない相手を『友達』ってゆーのよ、多分ね」
――なんだ、わかってんじゃん、アタシ。
「……っても、こんなのしょせん口だけの話だけど」
苦笑する。わかってるはずなのに、あたしは何にもわかってない。
「仲良くなればなるほど、わかってるって思っちゃう。わかってほしいと思っちゃうもん」
わかってると自惚れてた。
わかってくれてると錯覚してた。
「そうして、いつの間にかあたし達はお互いを『本当に』わかった気になってた。
だからうまくいかなくなったのよ、あたしとリディアは」
これが憎しみじゃないことには、本当はとっくの昔に気づいてた。
ただ、そう思い込みたかっただけだ。
彼女を恨むことが出来れば、あたしはきっとあたしを許せる。
そんなバカみたいな幻想を抱いてた。
だからあの時のあたしはリディアに躊躇なく魔法を使おうとしたんだろう。
恨みたかった。恨んでほしかった。
壊れかけた砂の城は、無様な形で作り直すより壊した方が楽だから。
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